【編集長の視点】クレスコは小反落も下期回復業績と純利益連続最高を手掛かりに割安株買い継続

クレスコ<4674>(東1)は、前日1日に1円安の1560円と小反落した。朝方に1596円と買われ、今年3月に突っ込んだ年初来安値1007円から58%となっただけに、目先の利益を確定する売り物に押された。ただ、この日の安値1545円からは切り返して引けており、下値には割安買いが継続した。3月期決算発表に際して新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を合理的に算出することが不可能として今2021年3月期予想業績を未定とする企業が多いなか、同社はしっかりと業績ガイダンスを開示し、しかも今期純利益が、連続して過去最高更新見込みにあることが手掛かりとなっている。側面支援材料として、同社の資本業務提携先で北海道大学発のAI(人工知能)ベンチャーの調和技研(北海道札幌市)が社員の平均給与を3年以内に倍増の1000万円に引き上げ開発を積極化と報道されたことも、クレスコの眼科領域の診断支援AIの開発加速が期待されるとして意識されている。

■前期末受注残の続伸をベースに今期売り上げも連続過去最高

 同社の今2021年3月期業績は、売り上げ400億円(前期比1.7%増)、営業利益34億円(同4.4%減)、経常利益36億円(同3.0%減)、純利益24億500万円(同1.2%増)と予想されている。売り上げは、前期末の受注残が、カーエレクトロニクスや情報家電向けの組込型ソフトウェア開発事業や公共サービス分野向けのソフトウェア開発事業の好調推移で前々期末比2.3%増と続伸したことを受けて連続して過去最高を更新する。営業利益と経常利益は、コロナ禍による企業のIT投資動向がとくに今期上期が不透明として、リーマン・ショック後の2010年3月期以来、11期ぶりの小幅減益転換と慎重に予想した。ただ企業のIT投資は下期に回復し受注も持ち直すとして、下期営業利益は、上期比34.4%増と見込み、純利益は通期で連続の過去最高となる。

 なお同社は、2030年に新規株式公開を計画している調和技研との眼科領域のAI開発を強化する一方、自社のクラウドサービス「Creage」でSumo Logicジャパン(東京都千代田区)とパートナー契約しログ分析可視化サービスの提供を開始するなど最先端分野での積極展開を続けており、業容の厚み拡大と業績高成長要因として期待されている。

■分割権利落ち安値から58%高し相場格言の「半値戻しは全値戻し」を加速

 株価は、今年1月末に3810円で株式分割(1株を2株に分割)の権利を落とし、この落ち後理論価格を上回る分割落ち後高値2034円をつけたが、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)、世界同時株安に巻き込まれて落ち後安値1007円へ突っ込んだ。同安値は明らかに売られ過ぎとして底上げ転換し、今期業績ガイダンスをポジティブに評価し、さらにSumoとのパートナーシップ契約、調和技研の話題性も加わってこの日の高値1596円まで58%高し、権利落ち後高値から同安値までの調整幅の半値戻しを達成した。PERは13倍台となお割安であり、相場格言の「半値戻しは全値戻し」通りに2034円へのキャッチアップを加速させよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■半導体パッケージの微細化に対応、LDI露光で1.0μm幅パターンを実現  旭化成<3407>(東…
  2. ■物流費やエネルギーコストの上昇受け、企業努力では限界  亀田製菓<2220>(東証プライム)は5…
  3. ■約100種類の実践講座で次世代エンジニアを育成  トヨタグループ5社は5月22日、AI・ソフトウ…
2025年7月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

ピックアップ記事

  1. ■内需株に広がる「トランプ・ディール」回避の波  東京電力ホールディングス<9501>(東証プライ…
  2. ■日米関税交渉、7月9日に運命の日「90日猶予」迫る潮目  「三日、三月、三年」とは、潮目、変わり…
  3. ■祝日と金融政策が交錯する7月  7月は、7月21日が「海の日」が国民の祝日に制定されてからフシ目…
  4. ■「MMGA」効果の造船株・海運株は「海の日」月間キャンペーン相場も加わり一段高を期待  あと1カ…
  5. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  6. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る