【編集長の視点】リーダー電子は今期の悪業績を織り込み中期経営指針をテコに前日比変わらず

 リーダー電子<6867>(JQS)は、前日2日に前日比変わらずの840円で引けた。同社株は、今年5月11日に3月期決算を発表し、今2021年3月期業績を大幅減益転換予想してストップ安するなど下値を確かめてきたが、同時に開示した中期経営指針で2022年3月期の営業利益を今期予想比40倍増との目標業績に設定していることを手掛かりに下値に割り負け株買いが続いた。今期配当については未定としたが、前期配当を期初予想から修正、年間26円(前期は記念配当5円を含めて25円)へ連続増配したこともポジティブに評価されている。

■英社子会社化で世界シェアが2位にアップし動画制作事業も収益化

 同社の今2021年3月期業績は、売り上げ33億円(前期比18.1%減)、営業利益2000万円(同95.4%減)、経常利益3500万円(同92.0%減)、純利益5500万円(同86.1%減)と前期業績の2ケタ続伸着地から大幅な減収減益転換が予想されている。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)の影響で東京オリンピック・パラリンピックの1年延期のほか、世界のスポーツイベントの中止・延期が相次ぎ、中継会社向けのビデオ関連機器などの受注停滞が予想されることから、業績ガイダンスを保守的に設定した。ただ4K・8K放送や5G(第5世代移動通信システム)の関連市場拡大のトレンドは変わらないとして下期回復を前提としており、上期の営業利益の2億3000万円の赤字は、下期には2億5000万円の黒字転換を見込んでいる。

 さらに中期経営方針では、営業利益は、今2021年3月期の2000万円から次期2022年3月期に8億円、2023年3月期10億円、2024年3月期12億円、2025年3月期15億円と高成長を目標としている。昨年7月末に子会社化したPHABRIX社(英国バークシャー州)の効果でビデオ関連機器の世界シェアが60%超とアップして世界第2位となり、同子会社の低コスト設計力を活用してリーダー製品を開発して利益率向上を図るほか、電波関連機器領域の国内受注増を進め、カメラ検査機関連領域を事業化・収益化し、新規事業領域の動画制作事業でもローコスト・高品質ソリューションを収益事業化することなどが寄与する。

 なお同社の今2021年3月期配当は、未定としているが、前々期2019年3月期は普通配当20円に創業65周年の記念配当5円を上乗せして年間25円(2018年3月期実績8円)と大幅増配し、前2020年3月期は、普通配当として年間26円へ連続増配した。

■自己資本比率80%と好財務内容を誇りPBRは0.8倍と割り負け顕著

 株価は、東京オリンピック・パラリンピック関連人気でつけた年初来高値1736円から新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴う世界同時株安や東京五輪延期が響いて年初来安値658円まで大きく調整し、売られ過ぎ修正と自己資本比率が80.8%に達する好財務内容を評価する買い物が相乗し、今期業績の減益転換予想も持ちこたえて988円まで5割高した。同戻り高値からは今期業績の減益転換予想がボディブローとなってスタップ安し再び下値固めを続けている。今期予想PERでは割高となるが、PBRでは0.82倍と割り負けを示唆しており、戻り高値奪回から今年3月高値1120円を目指そう。 (本紙編集長・浅妻昭治)

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