パイプドHDは戻り試す

 パイプドHD<3919>(東1)は情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として、情報資産プラットフォーム事業や販促CRMソリューション事業などを展開している。21年2月期は減収減益(レンジ)予想としている。当面は新型コロナウイルスによる経済収縮の影響が意識されるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は3月の安値圏から反発して水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。なお自己株式取得を実施している。また6月30日に第1四半期決算発表を予定している。

■情報資産プラットフォーム事業などを展開

 国内最大規模の情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として事業展開している。

 セグメント区分は、機能別事業群の情報資産プラットフォーム事業(スパイラルやBizBaseなどのクラウドサービス提供)、販促CRMソリューション事業(Webシステムの開発、ECサイトの構築・運営支援)、広告事業(インターネット広告代理販売)、および分野別事業群のxTech事業(ArchiTech:BIM事業、BeauTech:美歴、HRTech:オーダーメイド人材育成代行、FinTech:エルコイン)、社会イノベーション事業(政治山、I LOVE 下北沢、シモキタコインの運営)としている。

 20年2月期の売上構成比は情報資産プラットフォーム事業68.4%、販促CRMソリューション事業15.5%、広告事業11.7%、xTech事業3.0%、社会イノベーション事業1.3%だった。

 情報資産プラットフォーム事業は、契約数増加に伴って月額サービス収入が拡大するストック型の収益構造である。広告事業の売上高は、広告枠の仕入高を売上高から控除する純額表示(ネット表示)としている。

■情報資産の有効活用を推進

 重点戦略としてリアルビジネスとの接点の強化、イノベーティブな事業への挑戦、グループ全体の採用・育成の強化、グループ各社の情報資産の有効活用を推進している。

 電子地域通貨プラットフォームを提供するエルコインの子会社シモキタコインは、エルコインの電子地域通貨プラットフォーム発行事業者第1号として、下北沢で行われるイベントや商業施設等で利用される電子地域通貨を発行している。

 政治・選挙情報サイト「政治山」を運営するVOTE FORは、自治体向けオープンデータ化・活用サービス「マイ広報紙」を展開するパブリカと合併し、収益性向上を推進している。

 20年3月にはコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)として投資事業を行う新会社ダブルシャープ・パートナーズ設立を発表した。20年夏頃からCVCファンドを組成・運営する。赤字が続いていた人材育成代行事業の子会社ブルームノーツについては解散(20年夏頃清算結了予定)する。20年5月には子会社パイプドビッツフレンディットの「スパイラルプレース」を譲り受けた。

 なお21年2月期からの中期経営計画2023については、新型コロナウイルスで事業環境が大幅に変化したため公表を見送っている。

■21年2月期減収減益予想

 21年2月期の連結業績予想はレンジ予想で、売上高が56億円~62億円(20年2月期比9.8%減~0.1%減)、営業利益が7億円~12億円(49.7%減~13.7%減)、経常利益が7億円~12億円(50.1%減~14.4%減)、純利益が3億50百万円~6億円(49.2%減~12.8%減)としている。配当予想は未定としている。

 新型コロナウイルスによって商談停滞など営業活動に影響が生じているため、非常事態が20年8月末まで継続する可能性を想定してレンジ予想としている。当面は新型コロナウイルスによる経済収縮の影響が意識されるが、中期的に収益拡大を期待したい。

■株価は戻り試す

 4月21日発表の自己株式取得(上限50万株・5億円、取得期間20年4月22日~20年10月21日)は、5月31日時点での累計取得株式数が8万6100株となった。

 株価は3月の安値圏から反発して水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。6月2日の終値は1601円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS上限43円08銭で算出)は約37倍、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS477円39銭で算出)は約3.4倍、時価総額は約130億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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