インテージホールディングスは戻り試す

 インテージホールディングス<4326>(東1)は市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも展開している。当面は新型コロナウイルスによる経済収縮の影響が意識されるが、収益拡大を期待したい。株価は3月の安値圏から反発して着実に水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■国内首位の市場調査が主力

 子会社インテージのSCI(全国個人消費者パネル調査)やi-SSP(インテージシングルソースパネル)など、国内首位・世界10位(GRBN 2018 Global Top25 Report)の市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも展開している。

 19年3月期のセグメント別売上構成比は、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業(事業会社インテージ、インテージリサーチ、アクセス・ジェーピー、海外子会社)63%、ヘルスケア分野のマーケティング支援事業(事業会社アンテリオ、アスクレップ、医療情報総合研究所、プラメドなど)24%、ITソリューション分野のビジネスインテリジェンス事業(事業会社インテージテクノスフィア)13%、営業利益構成比は消費財・サービス分野のマーケティング支援事業52%、ヘルスケア分野のマーケティング支援事業38%、ITソリューション分野のビジネスインテリジェンス事業11%である。

 消費財・サービス分野では、次世代SRI(全国小売店パネル調査)サービスのSRI+およびECデータについて、21年1月本リリース(ECデータは20年1月本リリース、21年1月SRI+と統合)予定としている。また20年2月、アジアにおけるモバイルパネル構想推進に向けて、マーケティングアプリケーションズ(MApps)のdataSpring事業を子会社化した。

 ヘルスケア分野ではフォーメーションを再構築するため、19年4月にアンテリオがアスクレップを吸収合併(新商号インテージヘルスケア)し、直下に医療情報総合研究所、プラメド、Plamed Korea、協和企画の4社を置く体制としている。

 ITソリューション分野のビジネスインテリジェンス事業では、18年3月システム開発のビルドシステムを子会社化、18年10月システム開発のエヌ・エス・ケイを子会社化、19年4月アルゴリズム事業準備室を設立、19年10月インテージテクノスフィアとシーシーエスが業務提携した。

 SBIインベストメントと共同設立のINTAGE Open Innovation Fundは、パーソナルAI「al+」開発のオルツ、WEBリサーチのリサーチ・アンド・イノベーション、IoTデータ流通プラットフォームの米EverySense、訪日外国人向けショッピングサポートアプリ「Payke」のPaykeなど、19年10月時点で合計21社に対して約23.6億円を投資している。

■20年6月期(決算期変更で15ヶ月決算)増配予想

 決算期を3月から6月に変更し、経過期間となる20年6月期(15ヶ月決算)連結業績予想は、売上高が710億円、営業利益が48億40百万円、経常利益が47億50百万円、純利益が31億50百万円としている。配当予想は年間30円としている。実質増配予想となる。

 事業別営業利益の計画は、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業が22億60百万円、ヘルスケア分野のマーケティング支援事業が19億円、ビジネスインテリジェンス事業が6億80百万円としている。

 第4四半期累計(19年4月~20年3月の12ヶ月分)は、前年同期間(19年3月期の12ヶ月決算)との比較で、売上高が4.1%増の562億04百万円、営業利益が6.7%増の45億54百万円、経常利益が9.1%増の46億円、純利益が9.5%増の31億30百万円だった。売上高は計画をやや下回ったが、各利益は概ね計画を上回る水準で着地した。

 消費財・サービス分野のマーケティング支援事業は、主力のパネル調査が堅調に推移して3.2%増収だが、新サービス開発費の増加などで5.7%減益だった。ヘルスケア分野のマーケティング支援事業は、CRO事業とプロモーション事業が低調だが、カスタムリサーチや一般用医薬品パネル調査の好調で4.9%増収、6.6%増益だった。ビジネスインテリジェンス事業はインテージテクノスフィアの好調やエヌ・エス・ケイの子会社化などで7.0%増収、67.6%増益だった。

 新型コロナウイルスの影響については、オフライン調査が実施できないことに加えて、顧客の業績悪化に伴う予算削減や業務中止・縮小の可能性があるとしている。当面は新型コロナウイルスによる経済収縮の影響が意識されるが、収益拡大を期待したい。

■株主優待は毎年12月末の株主対象に変更

 なお決算期変更に伴って株主優待制度の基準日も変更する。従来の毎年9月30日対象から、毎年12月31日現在の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施(詳細は会社HP参照)する。21年6月期対象から変更する。

■株価は戻り試す

 株価は3月の安値圏から反発して着実に水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。6月3日の終値は878円、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS699円51銭で算出)は約1.3倍、時価総額は約355億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  2. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…
  3. ■節約志向が市場を動かす?  日本の消費者は、節約志向と低価格志向を持続しており、これが市場に影響…
  4. ■投資家の心理を揺さぶる相場の波  日米の高速エレベーター相場は、日替わりで上り下りと忙しい。とく…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る