コーア商事ホールディングスは上場来高値更新

 コーア商事ホールディングス<9273>(東2)は医薬品原薬の輸入販売、および医薬品の製造販売・受託製造を展開している。20年6月期大幅増益・増配予想である。新型コロナウイルスの影響は限定的だろう。収益拡大を期待したい。株価は上場来高値を更新した。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■原薬販売事業と医薬品製造販売事業を展開

 原薬販売事業および医薬品製造販売事業を展開している。商社機能と製造機能を併せ持つビジネスモデルである。19年6月期の売上高構成比は原薬販売事業72%、医薬品製造販売事業28%だった。

 原薬販売事業は、コーア商事がジェネリック医薬品原薬を中心とする輸入販売を展開している。世界10ヶ国以上・90社以上の原薬製造企業から輸入し、国内100社以上の製薬企業向けに販売している。国内トップクラスの取引基盤・取扱商品を誇り、商社機能を核として「ジェネリックのベストパートナー」を目指している。

 医薬品製造販売事業は、コーアイセイの医療用・一般用医薬品の製造・販売、および製薬企業からの受託製造を主力としている。主力製品は炭酸ランタンOD錠(口腔内崩壊錠=口の中に入れると唾液で溶ける製剤)および注射剤である。

 注射剤については3剤形(バイアル、アンプル、シリンジ)のうち、現在はシリンジを主力としている。19年6月には蔵王工場バイアルラインの引き渡しが完了し、バイアルの受託製造拡大を目指して受注活動を本格化させている。

 中期成長戦略としては、原薬販売事業では長期収載品など新規マーケットの獲得、医薬品製造販売事業では蔵王工場における受託製造本格展開を推進する。原薬販売事業は安定収益源、医薬品製造販売事業は成長ドライバーという位置付けである。

■20年6月期大幅増益・増配予想

 20年6月期連結業績予想(5月12日に売上高、利益とも上方修正)は、売上高が19年6月期比3.9%増の158億円、営業利益が61.1%増の19億50百万円、経常利益が54.3%増の19億70百万円、純利益が2.1倍の13億50百万円としている。配当予想(5月12日に期末6円上方修正)は、19年6月期比6円増配の30円(期末一括)である。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比7.1%増の111億04百万円、営業利益が2.6倍の15億02百万円、経常利益が2.5倍の15億32百万円、純利益が4.1倍の10億56百万円だった。

 原薬販売事業は1.0%減収、25.9%増益だった。高脂血症用剤用原薬が在庫調整などの影響で減少したが、抗生物質製剤など利益率の高い取引が好調だった。売上ミックス改善で大幅増益だった。医薬品製造販売事業は33.7%増収で黒字転換した。第2四半期から開始した一部製品の受託製造が寄与した。

 通期も原薬販売事業における売上ミックス改善、医薬品製造販売事業における新規受託製造が牽引し、減価償却費増加などを吸収して大幅増益予想である。新型コロナウイルスの影響は限定的だろう。収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年6月末の株主対象

 株主優待制度は毎年6月末時点の株主に対して、保有株式数および保有期間に応じてQUOカードを贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は上場来高値更新

 株価は高値圏モミ合いから上放れる形で上場来高値を更新した。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。6月10日の終値は1941円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS136円30銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想30円で算出)は約1.5%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1353円80銭で算出)は約1.4倍、時価総額は約192億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る