【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ジャパンフーズは16年3月期の営業損益が改善基調、低PBRも評価

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ジャパンフーズ<2599>(東1)は飲料受託生産の最大手である。株価は15年3月期業績の減額修正を受けて調整局面となったが、16年3月期の営業損益は改善基調であり、0.8倍近辺の低PBRも評価して反発のタイミングだろう。

 伊藤忠商事<8001>系で飲料受託生産(OEM)の国内最大手である。品目別には炭酸飲料と茶系飲料を主力として、コーヒー飲料、果汁飲料、機能性飲料、酒類飲料、ファーストフード店のディスペンサーでサービスされる業務用濃縮飲料(ウーロン茶、アイスコーヒーなど)を製造している。

 主要得意先はアサヒ飲料、キリンビバレッジ、伊藤園<2593>サントリー食品インターナショナル<2587>などの大手飲料メーカーである。容器別にはペットボトル飲料を主力として、缶飲料は戦略的に減少させている。

 4月24日に発表した前期(15年3月期)の非連結業績は売上高が前々期比22.4%減の248億62百万円、営業利益が同93.6%減の59百万円、経常利益が同93.6%減の60百万円、そして純利益が24百万円の赤字(前々期は4億83百万円の黒字)だった。純利益は繰延税金資産の取り崩しも影響した。

 配当予想については前々期と同額の年間27円(第2四半期末10円、期末17円)とした。健全な財務体質を目指し、将来の事業発展に備えた設備投資等のための内部留保を確保する一方、業績に応じた安定かつ継続的な配当を行うことを基本方針としている。

 消費増税駆け込み需要の反動、消費マインド低迷の長期化、夏場の全国的な天候不順などによる飲料業界全体の販売不振が影響して、受託製造数量が減少した。受託製造数量は同12.4%減の42万1843キロリットル、同13.9%減の4074万8千ケースで、品目別(ケース数)では酒類飲料が同37.4%減少、炭酸飲料が同16.9%減少、茶系飲料が同7.6%減少した。

 なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)89億32百万円、第2四半期(7月~9月)67億28百万円、第3四半期(10月~12月)45億49百万円、第4四半期(1月~3月)46億53百万円、営業利益は第1四半期6億37百万円、第2四半期1億54百万円、第3四半期4億67百万円の赤字、第4四半期2億65百万円の赤字だった。

 冬場の第3四半期と第4四半期は飲料業界全体の不需要期となるため営業損益が赤字となる収益構造だが、第4四半期は第3四半期に比べて赤字幅が縮小して改善基調となった。

 今期(16年3月期)の非連結業績予想(4月24日公表)は売上高が前期比32.8%減の167億円、営業利益が同11.5倍の6億80百万円、経常利益が同11.7倍の7億円、純利益が3億90百万円(前期は24百万円の赤字)、配当予想が前期と同額の年間27円(第2四半期末10円、期末17円)としている。

 一部の取引形態の変更に伴って減収の形だが、消費増税や天候不順の影響が一巡し、新規受託案件も寄与して受託製造数量が回復基調となる。

 受託製造数量の回復と稼働率の上昇効果、無菌充填2ラインの本格稼働に伴う生産性の向上効果、経費の削減効果なども寄与して営業損益が大幅に改善する見込みだ。なお固定資産の減価償却方法を定率法から定額法に変更する。

 中期成長戦略については、コアビジネス(国内飲料受託製造事業)の収益拡大に向けて将来を見据えた投資の着実な推進、低重心経営の実践、新規商材への取り組み強化、および新規ビジネス(海外飲料受託製造事業、国内水宅配事業、自社ブランド商品、その他)の着実な推進と事業収益の拡大、そして成長戦略を支える経営基盤の強化としている。

 コアビジネス(国内飲料受託製造事業)では積極投資を推進し、12年7月に本社工場で世界最新鋭の炭酸・非炭酸兼用無菌充填ライン(Eライン)が稼動した。14年3月には既存の大型ペットボトルライン(Tライン)もリバイタライズ(機能増強)で炭酸・非炭酸兼用無菌充填ライン化した。

 さまざまな容器(ペットボトル、瓶、缶)の飲料を世界最大級の本社1工場で生産するため、市場環境や顧客ニーズの変化に対応したフレキシブルで効率的な生産を強みとしている。容器のコストダウンなどにも積極的に取り組んでいる。本社工場のある千葉県長柄町は首都圏に近いロケーションという競争優位性に加えて、表層地盤の揺れやすさが0.4~0.6と安定しているため災害優位性にも優れている。

 新規ビジネス分野では、国内で水宅配事業を展開するウォーターネット、中国で飲料受託製造事業を展開する東洋飲料(常熱)有限公司(東洋製罐との合弁)への出資比率を引き上げている。東洋飲料(常熱)は中国における日系初の飲料受託製造会社で、国際的な認証規格「FSSC22000」も取得している。ウォーターネットの販売数量、東洋飲料(常熱)の受託製造数量とも順調に増加しているようだ。

 自社ブランド商品に関しては、本社工場がある千葉県産の農林水産物を使用した商品「おいしい房総サイダー」シリーズなどを、千葉県を中心に販売している。

 4月24日に4ヵ年の中期経営計画「JUMP2015」のレビューと見直しを発表した。3年度目の15年3月期が消費マインドの低迷や全国的な天候不順の影響を受けて計画を下回ったため、最終年度16年3月期の計画を見直した。ただし経営方針および方向性を堅持し、成長戦略を着実に推進するとしている。新規ビジネスの連結収益化目標は17年3月期以降としている。

 なお2月13日に代表取締役の異動を発表している。6月12日付で細井富夫現常務取締役が代表取締役社長に就任し、本所良太現代表取締役社長は代表権を有さない取締役会長に就任する。6月12日開催予定の定時株主総会後の取締役会において正式決定する。中期経営計画「JUMP2015」の最終年度に当たり、新体制で更なる業容の拡充を期すとしている。

 株主優待制度については毎年3月末時点の1単元(100株)以上所有株主に対して自社製品詰め合わせセットを贈呈している。14年3月期末は「房総のおいしい水24本」「サイダー バラエティセット30本」「千葉のおいしい麦茶24本」「愛犬のためのPREMIUM MILK+10袋」の中からいずれかを選択する優待内容だった。

 株価の動きを見ると、15年3月期業績の減額修正で、4月17日に年初来安値1059円まで下げる場面があり、調整局面となった。ただし足元は1100円台前半の水準で推移して売り一巡感を強めている。

 5月14日の終値1109円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS80円86銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間27円で算出)は2.4%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS1464円85銭で算出)は0.8倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んで調整局面だが、足元では下げ渋り感を強めている。1100円近辺が下値支持線の形だ。16年3月期の営業損益は改善基調であり、0.8倍近辺の低PBRも評価して反発のタイミングだろう。

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