インテージホールディングスは戻り試す

 インテージホールディングス<4326>(東1)は市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも展開している。20年6月期(決算期変更で15ヶ月決算、6月16日に下方修正)は新型コロナウイルスの影響を受けるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は3月の安値圏から着実に下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■国内首位の市場調査が主力

 子会社インテージのSCI(全国個人消費者パネル調査)やi-SSP(インテージシングルソースパネル)など、国内首位・世界10位(GRBN 2018 Global Top25 Report)の市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも展開している。

 19年3月期のセグメント別売上構成比は、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業(事業会社インテージ、インテージリサーチ、アクセス・ジェーピー、海外子会社)63%、ヘルスケア分野のマーケティング支援事業(事業会社アンテリオ、アスクレップ、医療情報総合研究所、プラメドなど)24%、ITソリューション分野のビジネスインテリジェンス事業(事業会社インテージテクノスフィア)13%、営業利益構成比は消費財・サービス分野のマーケティング支援事業52%、ヘルスケア分野のマーケティング支援事業38%、ITソリューション分野のビジネスインテリジェンス事業11%である。

 消費財・サービス分野では、次世代SRI(全国小売店パネル調査)サービスのSRI+およびECデータについて、21年1月本リリース(ECデータは20年1月本リリース、21年1月SRI+と統合)予定としている。また20年2月、アジアにおけるモバイルパネル構想推進に向けて、マーケティングアプリケーションズ(MApps)のdataSpring事業を子会社化した。

 ヘルスケア分野ではフォーメーションを再構築するため、19年4月にアンテリオがアスクレップを吸収合併(新商号インテージヘルスケア)し、直下に医療情報総合研究所、プラメド、Plamed Korea、協和企画の4社を置く体制としている。

 ITソリューション分野のビジネスインテリジェンス事業では、18年3月システム開発のビルドシステムを子会社化、18年10月システム開発のエヌ・エス・ケイを子会社化、19年4月アルゴリズム事業準備室を設立、19年10月インテージテクノスフィアとシーシーエスが業務提携した。

 SBIインベストメントと共同設立のINTAGE Open Innovation Fundは、パーソナルAI「al+」開発のオルツ、WEBリサーチのリサーチ・アンド・イノベーション、IoTデータ流通プラットフォームの米EverySense、訪日外国人向けショッピングサポートアプリ「Payke」のPaykeなど、19年10月時点で合計21社に対して約23.6億円を投資している。

■20年6月期(決算期変更で15ヶ月決算)増配予想

 20年6月期(決算期変更で19年4月~20年6月の15ヶ月決算、6月16日に下方修正)連結業績予想は、売上高が670億円、営業利益が36億50百万円、経常利益が34億円、純利益が14億50百万円としている。なお配当予想は据え置いて30円としている。実質増配予想となる。

 第4四半期累計は各利益が概ね計画を上回る水準で着地したが、第5四半期に新型コロナウイルスの影響を受け、マーケティングリサーチのオフライン調査において中止や延期が発生している。また全てのセグメントにおいて、顧客の予算削減や新規営業活動の制約などで、案件数の伸びが鈍化しているようだ。オンライン調査など代替手段へのシフトを進めているが、従前の水準まで戻るには時間を要する見込みだ。また第5四半期(4~6月)に特別損失として減損損失を計上する見込みとなった。

 20年6月期は新型コロナウイルスの影響を受けるが、中期的に収益拡大を期待したい。

■株主優待は毎年12月末の株主対象に変更

 なお決算期変更に伴って株主優待制度の基準日も変更する。従来の毎年9月30日対象から、毎年12月31日現在の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施(詳細は会社HP参照)する。21年6月期対象から変更する。

■株価は戻り試す

 株価は3月の安値圏から着実に下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。7月1日の終値は893円、連結PBR(19年3月期連結BPS699円51銭で算出)は約1.3倍、時価総額は約361億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■更新前のスーパーコンピュータの約4倍の計算能力  富士通<6702>(東証プライム)は2月21日…
  2. ■両社の資源を有効活用しSDGsに貢献  伊藤忠商事<8001>(東証プライム)グループのファミリ…
  3. ■純正ミラーと一体化し、左後方の視界を広げる  カーメイト<7297>(東証スタンダード)は、純正…
2024年3月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■投資と貯蓄の狭間で・・・  岸田内閣の「資産所得倍増プラン」は、「貯蓄から投資へ」の流れを目指し…
  2. ■「ノルム(社会規範)」解凍の序章か?植田新総裁の金融政策正常化  日本銀行の黒田東彦前総裁が、手…
  3. ■「日経半導体株指数」スタート  3月25日から「日経半導体株指数」の集計・公表がスタートする。東…
  4. ■投資家注目の適正株価発見ツール  日銀の価格発見機能が不全になる可能性がある中、自己株式取得が新…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る