【注目銘柄】三菱総研は小反落も業績再上方修正を見直し下値に割安株買いが依然として継続

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 三菱総合研究所<3636>(東1)は、前日13日に5円安の4085円と2日ぶりに小反落して引けた。同社株は、直近安値からこの日取引時間中の高値4150円まで200円超幅の上昇をしており、目先の利益を確定する売り物に押された。この直近安値は、今年8月3日に今2020年9月期業績の2回目の上方修正を発表したが、織り込み済みとしてネガティブに評価されたためにつけたものだが、下値にはこの再増額修正を見直して売られ過ぎとして割安修正買いが継続した。テクニカル的にも、75日移動平均線へ下ヒゲを伸ばして下値を確認しており、調整一巡感を強めて買い手掛かりとなっている。

■今期純利益は負ののれん発生益とM&A応募で3期ぶり過去最高

 同社の今9月期業績は、今年2月、8月と四半期決算発表のたびに増減マチマチに修正された。このうち8月の再上方修正時には、売り上げは期初予想より15億円下方修正されたが、営業利益は今年2月の下方修正値より6億円、経常利益は今年2月の上方修正値より7億円、純利益も同じく3億円それぞれ引き上げ、売り上げ925億円(前期比2.7%増)、営業利益55億円(同7.2%増)、経常利益75億円(同31.1%増)、純利益66億円(同83.3%増)と見込み、純利益は、2017年9月期の過去最高(38億3300万円)を3期ぶりに大幅に更新する。

 売り上げは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で遂行中業務の中断・仕様変更、新規仕掛案件の中止・変更・延期などで下ぶれたが、シンクタンク・コンサルティングサービスでは官公庁、金融機関向けの案件が伸長し、ITサービスでは金融機関向けのシステム案件などが寄与して増収転換を維持した。利益は、アイネス<9742>(東1)株式の追加取得による負ののれん発生益13億3300万円やM&A応募に伴う特別利益27億1500万円などが上乗せとなって連続増益率を拡大させた。この株式追加取得は昨年9月、M&A応募は同11月にそれぞれ発表されており、今回の業績の再上方修正は材料出尽くし・織り込み済みの評価につながった。

■PER10倍台の割安修正で年初来高値を上抜け2017年高値を意識

 株価は、今年2月の1回目の業績上方修正で年初来4825高値円をつけ、コロナショック安のなか同安値2560円まで急落し、売られ過ぎとして底上げし、今期第2四半期の好決算を手掛かりに4520円の戻り高値まで約8高した。足元ではこの高値調整で上昇転換した75日移動平均線で下値を確認し、調整一巡感を強めた。PERは10倍台と割安であり、戻り高値抜けから年初来高値を奪還し、次の上値フシとして2018年7月高値5500円が意識されよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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