クリナップは新型コロナ影響で21年3月期減益予想だが下期回復期待

 クリナップ<7955>(東1)はシステムキッチンの大手で、システムバスルームも展開している。中期ビジョンに「暮らし価値創造企業Cleanupへの変革」を掲げ、収益拡大・高収益化を推進している。21年3月期は新型コロナウイルス影響で大幅減益予想だが、下期の需要回復を期待したい。株価は安値圏でモミ合う形だが調整一巡感を強めている。高配当利回りや低PBRにも注目して出直りを期待したい。

■システムキッチン大手でシステムバスルームも展開

 システムキッチンの大手である。中高級品に強みを持ち、厨房部門(システムキッチン)を主力として、浴槽・洗面部門(システムバスルーム・洗面化粧台)も展開している。

 20年3月期の部門別売上構成比は厨房部門が78%、浴槽・洗面部門が15%、その他が7%、全国のショールーム数は102ヶ所、来場組数は395千組だった。販売ルートは工務店の会員登録制組織「水まわり工房」加盟店を主力としている。収益面では新設住宅着工件数やリフォーム需要の影響を受けやすい。

■中期ビジョンは「暮らし価値創造企業Cleanupへの変革」

 中期経営計画(18年~20年)では、ビジョンに「暮らし価値創造企業Cleanupへの変革」を掲げ、収益拡大・高収益化を目指している。

 重点施策としては、高級・超高級市場への本格参入に向けた商品ラインナップの変革、シェア回復に向けたフラッグシップモデルの刷新、ショールームにおける価値提供の強化、アジア諸国向けステンレスキャビネットの本格展開、新たな販売チャネルとしてのECビジネス立ち上げなどを推進している。

 また業務提携を活用し、新規事業として富裕層向け海外キッチン事業、他業種とコラボしたダイニング事業を展開する。

■21年3月期は新型コロナ影響で減益予想だが下期回復期待

 21年3月期連結業績予想(期初時点では未定としていたが8月6日に公表)は、売上高が20年3月期比4.2%減の1030億円、営業利益が72.0%減の7億円、経常利益が68.6%減の8億円、純利益が72.7%減の4億円としている。配当予想は20年3月期と同額の20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比13.7%減の220億27百万円、営業利益が5億07百万円の赤字(前年同期は2億35百万円の黒字)、経常利益が4億34百万円の赤字(同2億94百万円の黒字)、純利益が4億76百万円の赤字(同1億49百万円の黒字)だった。新型コロナウイルス影響で2桁減収(厨房部門が13.4%減収、浴槽・洗面部門が18.9%減収)だった。原価低減や販管費抑制でカバーできず、各利益は赤字だった。

 通期も減収減益予想だが、第2四半期以降の緩やかな回復を見込み、通期ベースで黒字予想とした。中高級品市場での競争力強化に向けて、20年6月にKITCHEN TOWN YOKOHAMA(横浜市みなとみらい)をオープンし、旗艦ショールーム全国4拠点(東京、横浜、名古屋、大阪)体制とした。またシステムキッチン「CENTRO」「STEDIA」や、20年6月リニューアルしたコンパクトキッチン「コルティ」など、高付加価値商品を順次投入している。さらに収益性改善に向けて、リターナブル梱包やシュリンク梱包の活用によって段ボール量を削減し、経費削減とともに環境対応を推進する方針だ。

 当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、下期の需要回復を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は安値圏でモミ合う形だが調整一巡感を強めている。高配当利回りや低PBRにも注目して出直りを期待したい。8月25日の終値は514円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS10円84銭で算出)は約47倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約3.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1379円67銭で算出)は約0.4倍、時価総額は約192億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る