朝日ラバーは新型コロナ影響で21年3月期営業赤字予想だが下期回復期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 朝日ラバー<5162>(JQ)は、自動車内装LED照明光源カラーキャップを主力として、医療や通信分野の拡大も推進している。21年3月期は新型コロナウイルスの影響で自動車関連を中心に需要が急減しているため営業赤字予想としたが、下期からの緩やかな需要回復を期待したい。株価は小動きだが着実に下値を切り上げている。業績悪化懸念は織り込み済みで、低PBRも注目材料となる。出直りを期待したい。

■自動車内装LED照明の光源カラーキャップが主力

 シリコーンゴムや分子接着技術をコア技術として、自動車内装照明関連、卓球ラケット用ラバー、RFIDタグ用ゴム製品などの工業用ゴム事業、およびディスポーザブル用ゴム製品などの医療・衛生用ゴム事業を展開している。車載用LED照明の光源カラーキャップ「ASA COLOR LED」が主力製品である。

 20年3月期セグメント別売上構成比は工業用ゴム事業84%、医療・衛生用ゴム事業16%、営業利益構成比(調整前)は工業用ゴム事業70%、医療・衛生用ゴム事業30%だった。

 技術開発では、RFIDタグ用ゴム製品で培った技術を活用した簡易睡眠ポリグラフ検査用着衣型ウェアラブルシステム、風車用プラズマ気流制御用電極、視認性に優れ疲労低減特性のある自動車内装照明用LEDなどの開発を推進している。

 20年1月には、切り紙構造とゴムの複合により低応力で伸長し、耐久性に優れた新しい伸縮配線の開発を発表した。ゴムの復元力と立体的な構造によって生体センシング分野での活用が見込まれ、早稲田大学と北里大学の共同研究で発表されたウェアラブル筋電計測デバイスの一部に採用された。

■重点分野は光学、医療・ライフサイエンス、機能、通信

 2030年を見据えた長期ビジョンを「AR-2030VISION」として定めた。SDGs・ESG経営を意識して経営基盤強化を目指す方針だ。

 中期事業分野を、光学事業(ASA COLOR LEDなど)、医療・ライフサイエンス事業(薬液混注用ゴム栓、プレフィルドシリンジ用ガスケットなど)、機能事業(車載スイッチ用ラバー、卓球ラケット用ラバーなど)、通信事業(RFIDタグ用ゴム製品、ビーコンなど)として、それぞれの製品群を成長させるコア技術や工場の役割を整理し、これまで整えてきた生産環境を最大限に生かす取り組みを推進する。

 そして最初のステージとなる第13次三カ年中期経営計画では、数値目標に23年3月期売上高80~90億円、営業利益率8%以上を掲げ、設備投資額は約10億円とした。

 光学事業(23年3月期売上高計画約40億円)では、自動車の内装照明市場から外装照明、アンビエント照明に向けた技術開発を推進する。医療・ライフサイエンス事業(約15億円)では、診断・治療分野、理化学機器分野、介護・予防分野に向けて制御技術と感性技術を磨く。機能事業(約21億円)では、ビークル分野、エネルギー分野、環境発電分野、スポーツ分野において制御技術、触覚・熱・振動・光関連技術、感性技術を磨く。通信事業(約12億円)では、自動認識分野、通信機器分野、センシング分野において、センシング技術、触覚・熱・振動・光関連技術、感性技術を磨く。

■21年3月期は新型コロナ影響で営業赤字予想だが下期回復期待

 21年3月期連結業績予想(期初時点では未定としていたが8月6日に公表)は、売上高が20年3月期比18.1%減の61億37百万円、営業利益が26百万円の赤字(20年3月期は3億25百万円の黒字)、経常利益が17百万円の黒字(同3億46百万円の黒字)、純利益が89百万円の黒字(同1億26百万円の黒字)としている。配当予想は20円減配の10円(期末一括)とした。

 第1四半期は、売上高が前年同期比20.4%減の14億30百万円で、営業利益が27百万円の赤字(前年同期は72百万円の黒字)、経常利益が9百万円の赤字(同72百万円の黒字)、純利益が20百万円の赤字(同51百万円の黒字)だった。

 医療・衛生用ゴムは全般的に好調だったが、新型コロナウイルスの影響で主力の自動車向けゴム製品、および卓球ラケット用ラバー、RFID用ゴム製品の需要が急減した。工業用ゴム事業は26.8%減収、医療・衛生用ゴム事業は12.9%増収だった。なお中期事業分野別で見ると、光学事業は32.6%減収、医療・ライフサイエンス事業は12.0%増収、機能事業は19.2%減収、通信事業は21.5%減収となった。

 通期も営業赤字予想だが、下期は受注が回復して営業黒字の見込みとしている。通期ベースの売上計画は、工業用ゴム事業が22.1%減収、医療・衛生用ゴム事業が2.7%増収である。中期事業分野別では光学事業が21.8%減収、医療・ライフサイエンス事業が5.1%増収、機能事業が24.3%減収、通信事業が21.0%減収である。なお第2四半期の特別利益に投資有価証券売却益計上を予定している。当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、下期からの緩やかな需要回復を期待したい。

■株価は着実に下値切り上げ

 株価は小動きだが着実に下値を切り上げている。業績悪化懸念は織り込み済みで、低PBRも注目材料となる。出直りを期待したい。8月25日の終値は629円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS19円57銭で算出)は約32倍、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS983円98銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約29億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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