【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ASIANSTARの1~3月大幅減益は想定内、財務基盤強化や中期成長に向けた積極投資を評価

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ASIANSTAR(エイシアンスター)<8946>(JQS)(15年4月、陽光都市開発から商号変更)は不動産関連事業を展開している。株価は4月の直近安値圏から切り返す動きだ。第1四半期(1月~3月)の大幅減収減益は想定内であり、財務基盤強化や中期成長に向けた積極投資を評価して高値圏を目指す展開だろう。

 15年4月1日付で陽光都市開発からASIANSTAR(エイシアンスター)に商号変更した。

 投資用マンション「グリフィンシリーズ」の企画・販売事業を一旦縮小し、不動産管理・賃貸・仲介事業のストック型フィービジネスへ事業構造を転換した。その後、中国における不動産関連事業に進出し、国内でも一旦縮小した不動産販売事業をあらためて拡大する方針を打ち出している。

 国内の不動産管理・賃貸・仲介事業関連では、13年8月にアパマンショップホールディングス<8889>の子会社アパマンショップネットワークとFC加盟契約締結、13年10月にストライダーズ<9816>と資本業務提携した。

 そして11年12月に上海徳威グループと資本提携し、安定的で堅実な収益体系が構築できたとして、中国での不動産関連事業(サービスアパートメント運営管理事業、ワンルームマンション賃貸事業)へ進出した。

 14年2月に香港柏雅および子会社でサービスアパートメント運営・管理コンサルティングを展開する柏雅酒店管理(上海)のベルグラビアグループを連結子会社化(上海柏雅投資管理は14年6月売却)し、14年7月には香港柏雅の子会社として陽光智寓(香港)を設立した。

 14年11月には15年後半に開業予定の世界有数の大型テーマパークから約5km圏内に位置する上海市周浦エリアにおいて、周浦印象春城サービスアパートメント1棟(220戸)の管理受託契約を締結した。14年12月には陽光智寓(香港)が中国上海市で新規事業の実務を行うため上海陽光智寓を設立した。

 さらに一層の事業規模拡大を図ることを経営課題として、一旦縮小した国内不動産販売事業をあらためて拡大する方針を打ち出し、15年2月に新規事業としてリゾート開発事業の開始を発表した。

 日本国内で約70ヶ所合計約46万坪の事業用地を取得し、ログハウスを開発・建設して日本国内および海外セカンドハウス・移住者向け住宅として販売する事業、概ね10年を目途に別荘地として区画分譲する事業、開発や区画分譲を開始するまでの期間を固定資産として賃貸する事業を計画している。事業運営は連結子会社の合同会社TYインベスターズ(15年2月設立)が行う。

 5月12日に発表した今期(15年12月期)第1四半期(1月~3月)の連結業績は、売上高が前年同期比50.8%減の2億77百万円、営業利益が同63.2%減の22百万円、経常利益が同86.7%減の6百万円、純利益が同93.7%減の2百万円だった。

 通期の連結業績見通しは前回予想(2月16日公表)を据え置いて、売上高が前期比33.2%減の14億44百万円、営業利益が同55.6%減の67百万円、経常利益が同66.2%減の59百万円、純利益が同65.4%減の47百万円、配当予想は無配継続としている。

 今期は不動産販売事業において竣工・販売物件の計画がないため大幅減収減益見込みだ。ただし不動産管理事業では国内で管理戸数が順調に増加し、中国におけるサービスアパートメント管理事業の収入も加わる。なお通期見通しに対する第1四半期の進捗率は売上高19.2%、営業利益32.8%、経常利益10.2%、純利益4.3%だった。

 中期的には不動産管理事業の安定収益に加えて、不動産販売事業、新規リゾート開発事業の拡大も寄与して収益改善基調が期待される。

 さらに新株予約権行使などで財務面の改善も進展している。自己資本比率は13年12月期末9.0%から14年12月期末46.7%、さらに第1四半期末58.5%、1株当たり純資産(BPS)は13年12月期末19円92銭から14年12月期末72円12銭、第1四半期末100円86銭へ改善した。

 なお15年2月発表の第三者割当増資(徳威国際発展有限公司210万株、香港富心国際有限公司77万株の合計287万株、発行価額1株230円)について、調達資金(差引手取概算額)約6億52百万円は借入金返済、新規事業用地取得後の諸費用、新規事業における開発資金に充当する。

 株価の動きを見ると、4月の直近安値圏210円近辺から切り返す動きだ。第1四半期の大幅減益も想定内としてややポジティブに反応したようだ。

 5月20日の終値228円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS3円60銭で算出)は63倍近辺、実績連結PBR(第1四半期実績の連結BPS100円86銭で算出)は2.3倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を回復した。また週足チャートで見ると52週移動平均線近辺から切り返して26週移動平均線を回復した。サポートラインを確認して強基調に回帰した可能性がありそうだ。財務基盤強化や中期成長に向けた積極投資を評価して高値圏を目指す展開だろう。

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