【アナリスト水田雅展の銘柄分析】イワキは戻り歩調に変化なし、0.5倍近辺の低PBRも評価

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 イワキ<8095>(東1)は医薬品・医薬品原料・化成品などを主力とする専門商社である。4月の年初来高値251円から利益確定売りで一旦反落したが、自律調整が一巡して切り返す動きだ。そして1月の210円台を直近ボトムとして下値切り上げトレンドを継続している。戻り歩調の流れに変化はなく、0.5倍近辺の低PBRも評価して14年7月と9月の高値264円を目指す展開だろう。

 1914年創業の医薬品商社で、医薬品事業(医療用・一般用・動物用医薬品の製造・販売、調剤薬局経営)、医薬品原料・香粧品原料事業(医薬品・香粧品原料の製造・販売、化粧品OEM製造)、化成品事業(電子工業用薬品・表面処理用薬品・化成品の製造・販売)、食品原料・機能性食品事業(食品原料の製造・販売、サプリメントOEM製造)、その他事業(医療機器の販売、化粧品の製造・販売)を展開している。

 全国の医薬品卸・医療機関・ドラッグストアなどに医薬品や機能性食品などを供給する卸売機能、国内外のメーカーなどを開拓して輸出入する商社機能、グループ内の岩城製薬(ジェネリック医薬品・医薬品原料、医療機関向け化粧品など)とメルテックス(表面処理薬品など)のメーカー機能を併せ持つことが強みで、卸売・商社・メーカー機能の連携を強化している。

 中期的な事業基盤強化と収益拡大に向けて、医薬品事業での共同開発・受託品の拡大、ドラッグストア向けPB商品など自社企画商品の開発強化、医薬品原料事業での市場シェア拡大、インド・グレンマーク社など海外サプライヤーとの連携強化、岩城製薬の生産能力増強と新製品開発、メルテックスの新製品拡販、海外(タイ、韓国、中国)展開強化、日立化成<4217>とのアライアンスによる拡販などを推進している。

 今期(15年11月期)の連結業績予想(1月14日公表)は売上高が前期比2.1%減の530億円、営業利益が同1.1%増の9億円、経常利益が同2.2%減の9億50百万円、純利益が同18.7%増の6億円、配当予想が前期から記念配当1円50銭を落として年間6円(第2四半期末3円、期末3円)としている。

 円安進行に伴う輸入原材料価格の上昇などを考慮して今期業績は概ね横ばいの会社見通しだ。しかし外皮用剤などのジェネリック医薬品、ジェネリック医薬品用原料、ドラッグストア向け自社企画PB商品が好調に推移する。訪日外国人旅行客急増に伴う免税店への販売も好調のようだ。化成品事業ではプリント配線板向け表面処理薬品などが好調に推移する。

 第1四半期(12月~2月)は前年同期比3.6%増収、同52.5%営業減益、同4.1%経常増益、同32.4%最終減益だった。全セグメントが増収と好調に推移したが、低薬価医療用医薬品の増産や海外製造子会社における減価償却負担増などが影響して営業減益、営業外での有価証券償還益や持分法投資損失の改善などが寄与して経常増益、法人税等の増加で最終減益だった。

 通期見通しに対する第1四半期の進捗率は売上高が24.5%、営業利益が10.0%、経常利益が18.7%、純利益が6.5%である。利益進捗率が低水準の形だが、期初時点で下期偏重の計画であり、薬価改定の影響一巡、岩城製薬の生産能力増強、メルテックスの新製品拡販なども寄与して通期ベースで好業績が期待される。ジェネリック医薬品・原料関連市場の拡大も追い風であり、中期的にも収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、4月の年初来高値251円から利益確定売りで一旦反落したが、5月15日の236円から切り返す動きだ。自律調整が一巡したようだ。そして1月の210円台を直近ボトムとして下値切り上げトレンドを継続している。

 5月20日の終値241円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS17円77銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間6円で算出)は2.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS514円70銭で算出)は0.5倍近辺である。

 日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線突破の動きを強めている。また週足チャートで見るとサポートラインの13週移動平均線が接近して切り返す動きだ。戻り歩調の流れに変化はなく、0.5倍近辺の低PBRも評価して14年7月と9月の高値264円を目指す展開だろう。

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