科研製薬が原発性腋窩多汗症治療剤「エクロックゲル5%」の国内製造販売承認を取得

新製品&新技術NOW

■抗コリン剤に分類される日本初の原発性腋窩多汗症用の外用剤

科研製薬<4521>(東1)は25日、原発性腋窩(えきか)多汗症治療剤「エクロックゲル5%」(一般名:ソフピロニウム臭化物)について、「原発性腋窩多汗症」の効能・効果で製造販売承認を取得したと発表した。

 原発性腋窩多汗症は、腋窩(わきの下)から温熱や精神的負荷の有無に関わらず大量の発汗を生じる疾患であり、患者は日常生活に支障をきたすとともに精神的な苦痛を受けるとされている。

 同剤は、神経伝達物質であるアセチルコリンの作用を阻害する抗コリン剤に分類される日本初の原発性腋窩多汗症用の外用剤である。アセチルコリンはムスカリン受容体と結合することにより、汗腺から発汗を誘発すると考えられており、同剤は多汗症の原因となるエクリン汗腺のムスカリン受容体と結合することでアセチルコリンの結合を阻害し、発汗を抑制する。1日1回の両腋窩への塗布で効果が期待でき、塗布の際にアプリケーター(塗布具)を用いることで手が薬液に触れることなく塗布が可能である。

 同社は、2015年3月にBrickell Biotech,Inc.(米国コロラド州)と原発性局所多汗症を対象に開発していた「ソフピロニウム臭化物」の日本とアジア主要国をテリトリーとした独占的ライセンス実施許諾および共同開発に関する契約を締結し、日本国内で開発を進めてきた。

 今回の製造販売承認は国内第Ⅲ相臨床試験の結果に基づくもので、この試験では原発性 腋窩多汗症患者を対象として、実薬群(141例)と基剤群(140例)との多施設共同、ランダム化二重盲検比較試験を実施し、6週間投与時の有効性と安全性について検討を行った。その結果、主要評価項目である「治療終了時のHDSSが1又は2であり、治療終了時の両腋窩合計発汗重量のベースラインとの比が0.5以下の被験者の割合」は基剤群に対し、実薬群で有意に改善した。主な副作用は適用部位皮膚炎、適用部位紅斑及び適用部位そう痒感だった。 なお、海外においては、米国でBrickell社が今年第4四半期に第Ⅲ相臨床試験を開始する予定としている。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■AIとベイジアンネットワーク解析で165項目を抽出、複雑な因果関係を構造化  大正製薬は11月2…
  2. ■Blackwell GPU2140基で研究競争力を拡大  NVIDIA(NVDA:NASDAQ)…
  3. ■銀座の呉服店「むら田」店主・村田あき子の語りをまとめた書籍  KADOKAWA<9468>(東証…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  2. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  3. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  4. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  5. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…
  6. ■売り方手仕舞いで需給改善が後押し  師走相場では、リスクの大きい銘柄であっても、逆日歩のつく信用…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る