アルコニックスの純利益は前期に引続き今期も最高益更新

■好業績だが、株価に対する評価は低く、PER6.09倍、PBR0.93倍

 アルコニックス<3036>(東1)の純利益は、前期に引続き今期も最高益更新の見込み。好業績で推移しているものの、株価に対する評価は低く、22日の株価で算出する株価指標は、PER(予想)6.09倍、PBR(実績)0.93倍、配当利回り2.31%と出遅れ歴然。

 前15年3月期連結業績は、売上高2015億43百万円(14年3月期比9.7%増)、営業利益45億84百万円(同31.6%増)、経常利益52億05百万円(同44.6%増)、純利益35億05百万円(同11.5%増)と増収増益で、経常利益は12年の過去最高であった44億93百万円を3期振りに上回った。純利益については、2期連続の最高益更新であった。

 同社は非鉄金属の専門商社である。一方で、M&Aにより製造業を子会社化している。これまで製造業に対するM&Aは3件、商社・問屋などに対するM&Aは8件である。また、3月24日に平和金属の株式を取得し、子会社化することも発表している。その他の事業投資は、30件ある。この様に、積極的なM&Aと事業投資により、同社の事業規模は年々拡大している。同社としては、今後もM&Aを実施することで、非鉄金属の総合企業を目指している。

 今期16年3月期連結業績予想は、売上高2160億円(前期比7.2%増)、売上総利益124億90百万円(同3.3%増)、販管費81億40百万円(同8.4%増)、営業利益43億50百万円(同5.1%減)、経常利益48億円(同7.8%減)、純利益40億円(同14.1%増)を見込んでいる。

 増収となったものの、販管費が増加することで、営業利益、経常利益は減益を見込んでいる。しかし、最終利益については、平和金属の株式購入に伴い、負ののれん代が約7億円発生することから増益を見込んでいる。

 セグメント別の業績は、国内連結会社の貢献が大きい軽金属・銅製品は、引き続き半導体、自動車、航空機部品関連の需要増加を見込み、
前期のケイ・マックの負ののれんの要素を除けば増収増益を見込む。軽金属・銅製品の売上高は830億円(前期比9.5%増)、セグメント利益24億70百万円(同17.8%減)を見込む。

 前年度に業績が回復に転じた電子・機能材は、スマートフォン・タブレット端末、自動車向けを中心に、電子材料、海外連結会社のメッキ材料の取引増加のほか、チタン展伸材の輸出増加を見込む。その結果、売上高845億円(同12.3%増)、セグメント利益20億円(同15.3%増)の予想。

 非鉄原料は、14年11月より営業開始した稲田銅センターの銅スクラップを含む非鉄スクラップ事業が業績に寄与するものの、主力のアルミ再生塊が頭打ちの状況。売上高337億円(同7.4%減)、セグメント利益2億10百万円(同21.7%減)と減収減益。

 建設・産業資材は、タイ・中東等の海外市場動向の影響が大きく、売上高148億円(同5.4%増)、セグメント利益1億20百万円(同42.0%減)を見込む。

 中期経営計画では、今後3年間でM&Aを中心に200億円の投融資を計画している。川上(製造業・リサイクルセンター)、川中(商社)、川下(問屋・小売)を問わず、非鉄金属を中心に鉄鋼、化学品等の広い分野をM&Aの対象とする。事業投資としては、中国でのアルミ押出加工会社への出資、国内外でのレアメタルリサイクル事業への投融資、アセアンなどのレアメタル・レアアース鉱山、製錬事業への投融資を考えている。また、グループ企業である大川電機製作所での航空機部品の加工工場増設、Univerticalでの中国におけるめっき素材需要取り込みのため生産設備増設を計画しており、今後3年間で35億円程度の設備投資を行う計画。

 中期経営計画の最終年度である18年3月期売上高は2530億円、その時の経常利益は65億円を見込んでいる。

 積極的な投資を行っているが、計画的であり、収益を確保していることから、自己資本比率は改善している。過去4年の自己資本比率を見ると、12年3月期19.8%、13年3月期21.8%、14年3月期の24.3%、15年3月期29.3%となっている。大胆であるようで、慎重な投資が行われていることが窺える。

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