【注目銘柄】タキロンシーアイは小幅続落も減益業績押し返して隠れコロナ関連人気再燃期待

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 タキロンシーアイ<4215>(東1)は、前日28日に4円安の671円と小幅に3営業日続落して引けた。同社株は、期初に未定とした今2021年3月期予想業績と配当を今年10月23日に開示し、業績は連続減収減益、配当は減配としたことから下値を確かめる展開が続いた。ただ、減収減益率が小幅で新型コロナウイルス感染症関連で需要が増加している製品もあることから、欧米でのコロナ感染の再拡大、欧米株安も逆バネに隠れ関連株人気の再燃期待を高め、下げ過ぎ訂正買いも交錯した。テクニカル的には今年7月安値と足元の安値でダブル・ボトムを形成するか、底値突っ込み買いチャンス到来かも注目されている。

■今期1Q業績は2ケタ増益転換し2Q決算動向が要注目

 同社の今2021年3月期業績は、売り上げ1320億円(前期比5.3%減)、営業利益70億円(同5.0%減)、経常利益73億円(同4.0%減)、純利益40億円(同69.4%減)と予想され、配当も、年間20円(前期は創立100周年記念配当10円を含め37円)への減配を予定している。新型コロナウイルス感染症の終息が依然として不透明で、今期下期も継続すると見込んで保守的な予想となった。配当は、配当性向を特殊損益を除いて40%とすることとしており、前期は連結子会社の固定資産譲渡益約122億円が寄与して過去最高純利益となり、創立記念配当も上乗せとなったことからこれに比較して大幅減配となる。

 ただこの予想業績開示に先立って今年8月に発表した今期第1四半期(2020年4月~6月期、1Q)決算は、売り上げが前期比5.5%減と続落したものの、営業利益が同46.7%増、経常利益が同48.1%増、純利益が54.3%増と大幅増益転換して着地した。主力の工業用プレートでは、半導体・FPD関連が回復に転じ、住設建材では巣ごもり消費向けのホームセンター需要が伸び、高機能材料セグメントでは、PETプレートが飛沫防止パネル用に好調に推移し、機能性材料セグメントでも、シュリンクフィルムが北米の巣ごもり消費向けに需要が拡大したことなどが寄与した。11月4日に発表予定の今期第2四半期(2020年4月~9月期、2Q)累計業績の動向が、要注目となる。

■形成中のダブル底から突っ込み買いで年初来高値を早期奪回

 株価は、年初高値737円から前期第3四半期業績の2ケタ減益とコロナ・ショック安により年初来安値466円へ大幅調整し、前期純利益の大幅増益・増配に新型コロナウイルス関連株人気がオンして年初来高値748円まで大きく上昇した。同高値後は、25日移動平均線を出没する展開となり、7月31日安値662円と前日28日の下ヒゲでつけた安値661円でダブル・ボトム(ダブル底)を形成中である。PERは16倍台、PBRは0.80倍、年間配当利回りは2.98%と割り負けており、突っ込み買い買いから底上げに再発進し年初来高値奪回も早そうだ。

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