サンコーテクノは下値固め完了感、21年3月期減益予想だが上振れの可能性

 サンコーテクノ<3435>(東2)は、建設用あと施工アンカーなどのファスニング事業を主力として、機能材事業も展開している。21年3月期は新型コロナウイルスの影響を考慮して減益予想だが、第2四半期累計が計画超で2桁増益着地だったことを勘案すれば、通期も上振れの可能性が高いだろう。なお12月17日に自己株式立会外買付取引(ToSTNeT―3)で自己株式22.2万株を取得した。株価は安値圏でモミ合う形だが下値固め完了感を強めている。低PBRも評価材料としてモミ合い上放れを期待したい。

■ファスニング事業と機能材事業を展開

 ファスニング事業を主力として、機能材事業も展開している。20年3月期のセグメント別売上高構成比はファスニング事業が76%、機能材事業が24%、営業利益構成比(連結調整前)はファスニング事業が81%、機能材事業が19%だった。ファスニング事業は建設投資関連のため、期後半の収益構成比が高い特性がある。

 ファスニング事業は、あと施工アンカー(コンクリート用特殊ネジ・釘類)の製造販売、ドリルやファスナーの製造販売、耐震補強事業、太陽光関連事業、土木建築工事管理などを展開している。あと施工アンカーの最大手である。

 機能材事業は、FRPシート関連、電動油圧工具関連、アルコール検知などの各種測定器関連、車両表示板などの電子プリント基板関連、プラスチック成形機・包装機の輸入販売関連などを展開している。19年2月にプリント基板表面実装・加工の浦和電研を子会社化、19年4月にプラスチック成形機・包装機輸入販売の成光産業・成光パックを子会社化した。

■中長期的に営業利益率8.0%以上目指す

 中長期目標数値に売上高成長率5.0%以上、営業利益率8.0%以上を掲げ、安定成長実現に向けた基盤・体制の強化を推進している。

 建設現場では現場作業の省力化・機械化ニーズの高まりや非熟練作業者の増加が予想され、現場での使いやすさを高めた施工ツール、あと基礎アンカー、アンカー打込機、紫外線硬化FRPシートといった製品の需要増が期待される。都市再開発や国土強靭化政策などで中期的に事業環境は良好である。

 20年10月には、付帯設備の撤去・更新に伴う使用後のアンカーの取り扱いが重要視されていることに対応して、拡底式「メタルアンダーカットアンカー」を新発売した。少ない作業工程で精確に拡底し、使用後の完全な抜き取りも可能となる。

■21年3月期減益予想だが上振れの可能性

 21年3月期連結業績予想は、売上高が20年3月期比2.7%減の180億円、営業利益が22.4%減の11億70百万円、経常利益が22.2%減の11億90百万円、純利益が20.7%減の8億円としている。配当予想は20年3月期と同額の26円(期末一括)である。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比2.2%減の85億45百万円、営業利益が16.4%増の6億62百万円、経常利益が15.4%増の6億63百万円、純利益が23.2%増の4億50百万円だった。

 減益予想から一転して2桁増益で着地した。ファスニング事業が新型コロナウイルスによる工事中断・工期ズレ込みの影響を受けたが、機能材事業で成光産業グループの包装・物流機器関連が寄与した。利益面では新型コロナウイルスに伴う営業活動自粛で販管費が減少したことも寄与した。ファスニング事業は3.9%減収で2.2%減益、機能材事業は3.2%増収で50.0%増益だった。

 通期の売上高の計画は、ファスニング事業が0.7%減の139億10百万円、機能材事業が8.8%減の40億90百万円としている。ファスニング事業は新型コロナウイルスによる設備投資抑制の影響を想定し、機能材事業では電動油圧工具や電子基板関連の需要減少を見込んでいる。

 ただし第2四半期累計の進捗率は売上高47.5%、営業利益56.6%、経常利益55.7%、純利益56.3%と順調だった。新型コロナウイルスの影響などを考慮して通期減益予想を据え置いたが、通期も上振れの可能性が高いだろう。

■株主優待制度は毎年3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年3月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、QUOカード500円分を贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は調整一巡

 なお11月19日に予定していた自己株式立会外買付取引(ToSTNeT―3)による自己株式取得が、売却株主との間で売却日時に関する認識および発行手続等に不備が生じて売り注文が出されなかったため取引不成立となっていたが、12月17日に自己株式立会外買付取引(ToSTNeT―3)で自己株式22.2万株を取得した。

 株価は安値圏でモミ合う形だが下値固め完了感を強めている。低PBRも評価材料としてモミ合い上放れを期待したい。12月22日の終値は897円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS99円01銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1583円46銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約78億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  2. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…
  3. ■節約志向が市場を動かす?  日本の消費者は、節約志向と低価格志向を持続しており、これが市場に影響…
  4. ■投資家の心理を揺さぶる相場の波  日米の高速エレベーター相場は、日替わりで上り下りと忙しい。とく…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る