松田産業は上値試す、21年3月期増収増益予想で再上振れの可能性

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 松田産業<7456>(東1)は貴金属関連事業および食品関連事業を展開している。21年3月期は上方修正して増収増益予想としている。後半の回復も勘案すれば再上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。株価は急伸した12月の昨年来高値圏から利益確定売りで反落したが、素早く切り返しの動きを強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。なお2月10日に第3四半期決算発表を予定している。

■貴金属リサイクルや農林水産品販売を展開

 貴金属リサイクル(貴金属事業)や産業廃棄物処理(環境事業)などの貴金属関連事業、および農林水産品を扱う食品関連事業を展開している。20年3月期の売上高構成比は貴金属関連事業62%、食品関連事業38%、営業利益構成比は貴金属関連事業79%、食品関連事業21%だった。

 貴金属リサイクルは、金・銀・白金族などの貴金属製品やめっき用化成品をエレクトロニクス業界へ販売するとともに、半導体や電子部品を製造する過程で規格外となった部品(スペックアウト品)などの貴金属含有スクラップを国内外のメーカーから回収・処理・製錬することで、貴金属をリサイクルする。粉砕・焼成する前処理工程から、貴金属を分離・抽出する製錬・精製工程までを一貫して行い、得られた高純度の金・銀・プラチナ・パラジウムなどから地金、各種加工品、化成品を製造する。海外はベトナム、タイ、フィリピン、シンガポール、中国・蘇州、マレーシア、台湾に展開している。

 産業廃棄物処理は、写真の感光材料からの銀の回収、廃酸や廃アルカリの無害化中間処理など、産業廃棄物の回収・処理を行っている。無害化処理技術に強みを持ち、全国47都道府県での収集運搬業許可を得ている。

 20年8月にはセメント製造設備を利用した大型リチウムイオン電池リサイクル事業の開始を発表した。太平洋セメントと共同で、敦賀セメント構内に設置した焙焼設備を用いて大型リチウムイオン電池リサイクル技術開発を実施してきたが、敦賀セメントが広域認定制度におけるリチウムイオン電池処理施設に認定されたため、20年4月から営業運転を開始した。

 食品関連事業はグローバルネットワークで食材(水産品、畜産品、農産品)の調達・販売を展開し、新たな販売市場の開拓および現地における仕入強化を推進している。海外は中国、タイ、ベトナムに展開し、19年10月には中華民国(台湾)市場において新規展開を開始した。

 収益面では、半導体・電子部品などエレクトロニクス業界の生産動向、貴金属および食品市況の影響を受けやすい特性がある。

■22年3月期営業利益55億円目標

 新中期経営計画(19年度~21年度)の目標値は22年3月期売上高2200億円、営業利益55億円、営業利益率2.5%、ROE6.0%としている。

 貴金属関連事業では、基幹事業の基盤強化、資源循環ビジネスをはじめとする顧客価値提案強化と営業体制整備、自動車関連市場・化学関連市場・海外市場の拡大、E-スクラップ・高機能材料・LiBリサイクル等の事業領域拡大を推進する。食品関連事業では、基幹事業の基盤強化、強い商品づくりのための開発・品質保証・生産管理支援機能強化、顧客ニーズに応じた商品ラインナップ拡大、グローバル展開加速を推進する。

 なお20年11月に固定資産取得(北九州市、土地、21年10月1日引き渡し予定)を発表した。中長期的な業容拡大に備えて、物流・生産拠点の充実に向けた拠点整備を図る。

■21年3月期増収増益予想で再上振れの可能性

 21年3月期の連結業績予想(期初時点では未定、8月7日に公表、11月11日に売上高・利益とも上方修正)は、売上高が20年3月期比4.3%増の2200億円、営業利益が0.9%増の63億円、経常利益が0.2%増の64億円、純利益が13.7%増の46億円としている。また配当予想は2円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比9.9%増の1116億77百万円、営業利益が14.3%増の36億69百万円、経常利益が13.2%増の36億83百万円、純利益が19.8%増の27億35百万円だった。

 貴金属関連事業が牽引して計画を上回り、2桁増益で着地した。貴金属関連事業は20.4%増収で38.2%増益だった。産業廃棄物処理受託が減少したが、貴金属リサイクル取扱量が増加し、貴金属相場の上昇も寄与した。食品関連事業は5.7%減収で52.5%減益だった。新型コロナウイルスによる業務用需要の縮小などで水産品・畜産品の販売量が減少した。

 通期予想は上方修正して、従来の減収減益予想から一転して増収増益予想としている。第2四半期累計の進捗率は売上高が50.8%、営業利益が58.2%と順調である。後半の回復も勘案すれば通期予想は再上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年3月末の継続1年以上保有株主が対象

 株主優待制度は毎年3月31日現在、1単元(100株)以上を継続1年以上保有する国内在住株主を対象として株主優待品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は上値試す

 20年11月20日発表の自己株式取得(上限14万株・2億円、取得期間20年11月24日~21年1月29日)については、20年12月31日時点での累計取得株式数が4万5700株となっている。

 株価は急伸した12月の昨年来高値圏から利益確定売りで一旦反落したが、素早く切り返しの動きを強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。1月5日の終値は1840円で、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS175円59銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2294円82銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約532億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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