【注目銘柄】日本ドライは反落も上場会社の工場火災頻発で業績期待を高め押し目買い妙味

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 日本ドライケミカル<1909>(東1)は、前日26日に10円安の1512円と反落して引けた。日経平均株価が、276円安と反落するなか、同社株も、75日移動平均線で下値を再確認する売り買いが交錯した。ただ同社は、今年2月5日に今2021年3月期第3四半期(2020年4月~12月期、3Q)決算の発表を予定しており、昨年来、上場会社の工場火災が頻発していることから今3月期通期業績の上ぶれ期待も底流しており、押し目買いの一考余地も示唆している。昨年2020年も、前期3Q決算開示に前期通期業績を上方修正しており、再現連想も働きそうだ。

■防災設備事業の2Q売り上げは24%増、総利益は38%増

 同社の今3月期予想業績は、昨年8月に開示され、同10月に第2四半期(2020年4月~9月期、2Q)業績が上方修正されたものの、通期業績については8月予想値を据え置いた。売り上げ410億円(前期比2.9%増)、営業利益20億円(同32.8%減)、経常利益20億円(同28.2%減)、純利益13億2000万円(同16.7%減)と見込み、売り上げは続伸するものの、利益は減益転換する。防災設備事業は順調に推移するが、メンテナンス事業では新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で改修・補修工事の期ズレが生じ、商品事業も伸び悩み継続となることなどから保守的な予想にとどまった。

 ただ昨年11月6日に発表された今期2Q累計業績は、上方修正通りに売り上げ190億900万円(前年同期比6.6%増)、営業利益8億8000万円(同6.5%増)、経常利益8億4700万円(同0.6%増)、純利益4億7700万円(同8.4%減)と増益転換して着地した。とくに防災設備事業が、採算性の高い案件を受注し、プラント施設の工事案件が増加、消火設備用機器・製品の販売も好調に推移したことから売り上げが24.5%増、売上総利益が38.0%増となったことが要因となった。それでも3月期通期業績は、8月予想値に変更はなかったが、事業環境そのものは、上場会社で工場火災が頻発するなどポジティブになっている。

 上場会社の工場火災は、昨年10月の旭化成<3407>(東1)の半導体製造子会社、同12月の日本製鉄<5401>(東1)の名古屋製鉄所から年明け後も日鉄鉱業<1515>(東1)の鉱業所、京三製作所<6742>(東1)の本社工場などの老朽化設備に続発、各業界のサプライチェーン途絶の不安を高めており、同社の防災事業の展開に支援材料となる。このため今3月期通期業績の上ぶれ期待も強く、東洋経済会社四季報最新号では今期純利益を15億5000万円と観測している。

■75日線で下値を再確認しPER8倍、PBR0.7倍の修正に再発進

 株価は、昨年2月の前期業績の上方修正で昨年来高値2026円をつけ世界同時株安で同安値1165円へ突っ込み、前期業績の上ぶれ着地でいったん1809円の戻り高値へリバウンドしたものの、今期第一四半期の減益決算で1352円へ調整、今期2Q累計業績の上方修正では窓を開けて1645円まで急伸し、25日移動平均線が75日移動平均線を上抜くゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆した。足元では、このトレンド転換を75日線で再確認する下値固めを続けているが、PERは8倍台、PBRは0.76倍と割安であり、昨年来高値2026円奪回を目指し再発進しよう。

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