神鋼商事は21年3月期3Q累計減益だが高進捗率、通期上振れ余地

(決算速報)
 神鋼商事<8075>(東1)は1月29日の取引時間中に21年3月期第3四半期累計の連結業績を発表した。新型コロナウイルスの影響で減収減益だった。ただし営業利益と純利益は通期予想を超過達成した。不透明な状況を考慮して通期予想を据え置いたが、上振れ余地がありそうだ。株価は安値圏でモミ合う形だが、高進捗率を評価して上放れを期待したい。

■21年3月期3Q累計減収減益、通期予想据え置きだが上振れ余地

 21年3月期第3四半期累計の連結業績は、新型コロナウイルスの影響で売上高が前年同期比22.8%減の5531億62百万円、営業利益が52.4%減の27億98百万円、経常利益が56.1%減の23億54百万円、純利益が52.7%減の14億76百万円だった。特別利益に投資有価証券売却益7億31百万円、特別損失には投資有価証券評価損4億70百万円を計上した。

 機械・情報が圧延設備や電池材料の増加で2.4%増益だったが、鉄鋼が需要減少や貸倒引当金計上で89.8%減益、鉄鋼原料が市況低迷による海外子会社の収益悪化で65.6%減益、非鉄金属が空調向け銅管や自動車向け銅板条の減少で4.9%減益、溶材が溶接材料の数量減少で85.3%減益だった。

 なお四半期別経常利益は、第1四半期が7億09百万円、第2四半期が9億09百万円、第3四半期が7億36百万円だった。

 通期連結業績予想は据え置いて、売上高が20年3月期比19.9%減の7500億円、営業利益が44.1%減の27億円、経常利益が31.5%減の27億円、純利益が50.9%減の8億円としている。

 第3四半期累計の進捗率は売上高が73.8%、営業利益が103.6%、経常利益が87.2%、純利益が184.5%で、営業利益と純利益は通期予想を超過達成した。新型コロナウイルスによる経済収縮の影響、米国エネルギー業界低迷に伴う海外関係会社の事業見直し、資産の減損などが見通せない状況として通期予想を据え置いたが、上振れ余地がありそうだ。

■株価は調整一巡

 株価は安値圏でモミ合う形だ。決算発表に対してややネガティブ反応となったが地合い悪化が影響しただろう。第3四半期累計の高進捗率を評価してモミ合い上放れを期待したい。1月29日の終値は1776円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS90円35銭で算出)は約20倍、時価総額は約157億円である。

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