【アナリスト水田雅展の銘柄分析】カナモトの15年10月期業績は増額含み

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 カナモト<9678>(東1)は建設機械レンタルの大手である。株価は戻り一服となって3500円近辺でモミ合う展開だが煮詰まり感を強めている。中期的に事業環境は良好で、15年10月期業績予想も増額含みであり、モミ合い上放れの展開だろう。なお6月5日に第2四半期累計(11月~4月)の業績発表を予定している。

 建設機械レンタルを主力として、海外向け中古建設機械販売、土木・建築工事用鉄鋼製品販売、IT機器・イベント関連レンタルなども展開している。北海道を地盤に東北、関東、中部、近畿、九州にも営業拠点網を拡充して全国展開するとともに、12年6月に道路建機レンタルと道路工事施工のユナイトを子会社化して業容を拡大している。

 15年1月には北関東エリアで6店舗目となる日立営業所(茨城県日立市)を開設し、営業拠点数は171拠点、子会社・アライアンスグループを含めると349拠点となった。環境保全設備や地下施設建設機械などの製造・レンタルを手掛ける子会社KGフローテクノは14年4月、中国・上海に現地法人を設立している。

 14年9月発表の新長期ビジョンおよび中期経営計画では、55期の19年を見据えたグループの目指す姿を新長期ビジョン「BULL55」として示した。そして実行計画である3ヵ年中期経営計画「BULL53」では、経営目標数値として17年10月期売上高1500億円、営業利益190億円、ROA5.0%以上、ROE10%以上などを掲げた。

 海外では15年1月にインドネシアの現地法人が営業を開始した。新長期ビジョン「BULL55」で海外展開強化を今後の成長エンジンと位置付けており、インドネシアへの進出はその一環としている。

 なお前期(14年10月期)の四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(11月~1月)331億48百万円、第2四半期(2月~4月)310億64百万円、第3四半期(5月~7月)284億45百万円、第4四半期(8月~10月)328億98百万円、営業利益は第1四半期56億51百万円、第2四半期44億21百万円、第3四半期27億41百万円、第4四半期36億41百万円だった。

 今期(15年10月期)の連結業績予想(12月10日公表)は、売上高が前期比2.4%増の1286億円、営業利益が同3.1%増の169億60百万円、経常利益が同3.3%増の166億10百万円、純利益が同2.4%増の95億20百万円としている。

 配当予想(12月10日公表)については、同5円減配の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。ただし前期の年間35円には会社設立50周年記念配当15円(第2四半期末に5円、期末に10円)が含まれているため、普通配当ベースでは10円増配となる。

 第1四半期(11月~1月)は、売上高が363億27百万円、営業利益が63億06百万円、経常利益が63億73百万円、純利益が40億62百万円だった。震災復興・防災対策・インフラ関連など、建設需要が好調に推移して前年同期比9.6%増収、同11.6%営業増益、同12.1%経常増益、同21.4%最終増益で、通期見通しに対する進捗率は売上高が28.3%、営業利益が37.2%、経常利益が37.4%、純利益が42.7%と高水準だった。

 東北や首都圏以外の建設需要は財政支出減少傾向で公共工事に不透明感があり、技能労働者不足による入札不調や着工遅延などの懸念もあるとして慎重な会社見通しだが、通期業績予想は増額含みだろう。

 震災復興関連工事、激甚災害現場復旧工事、防災・減災・耐震化関連工事、老朽化インフラ補修・更新関連工事、都市再開発関連工事などが活発であり、リニア新幹線関連工事や20年東京夏季五輪関連工事も本格化してくる。中期的に良好な事業環境に変化はなく、建機レンタル需要は高水準で推移することが予想される。収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、3000円近辺で下値固めが完了して切り返したが、3月中旬以降は戻り一服となって3500円近辺でモミ合う展開だ。ただし煮詰まり感を強めている。

 6月1日の終値3525円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS264円16銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は0.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1758円24銭で算出)は2.0倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を突破し、13週移動平均線がサポートラインの形だ。今期予想連結PERには割安感があり、モミ合い上放れの展開だろう。

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