アドアーズ 代表取締役社長齊藤慶氏が下期のグループ方針について説明

■第2四半期業績は増収ながら減益

アドアーズ<4712>(JQS)の今期15年3月期第2四半期業績は、売上高117億82百万円(前年同期比3.8%増)、営業利益7億12百万円(同10.4%減)、経常利益6億53百万円(同10.2%減)、純利益5億67百万円(同21.5%減)と増収ながら減益。

同社の事業は、アミューズメント事業、不動産事業、商業建築事業の3事業に区分されている。

アミューズメント事業は、アミューズメント施設運営部門では、消費税増税の対応として、第1四半期に開始したメダルゲームジャンルの新しいメダル貸出単価の設定を普及させ、メダルゲームを設置する全店舗でクレジットカード決済を可能とするなど、顧客ニーズに応えてきた。なお、9月にはメダル会員数が90万人を突破したことを受け、月例のメダルイベントとなる「アドアーズの日」を3日間に拡大して開催するなど、感謝還元イベントも実施した。
クレーンゲームジャンルでは、流行に合わせた人気キャラクター景品を効果的に揃える一方で、コアな乙女系景品なども継続的に提供したことにより、好調に推移し、収益面でも健闘した。

さらに、前期より注力している販促・ブランディング活動では、人気のアニメ作品をはじめとした各種キャラクターコンテンツとのコラボレーションイベントを数多く実施し、特にカラオケ業態におけるコラボレーションイベントによる新規顧客層の獲得及び収益拡大に努めた。しかし、アミューズメント施設運営部門の業績は、スマートフォンの普及による無料ソーシャルゲームの影響を受けたアーケードゲームジャンルの落ち込みや消費税増税による個人消費の減退を補うには至らず、軟調に推移した。
また、アミューズメント景品の企画・製造・販売を手掛けるブレイクは、得意とするオリジナル景品・雑貨系景品の販売が第1四半期で好調であったものの、夏休み商戦期以降はヒット商品等の企画・製造が追い付かず、販売が若干伸び悩んだ。その結果、売上高は77億25百万円(同12.0%減)、セグメント利益5億82百万円(同36.8%減)と減収大幅減益となった。

不動産事業は、一戸建分譲を中心とするキーノートが、4月からの消費税増税前の駆け込み需要の集中によって一部の物件の完工引渡しが年度を跨いだことが大きく収益貢献したほか、東京・大阪それぞれの拠点で、安定した販売実績を確保したことにより、好調に推移した。
不動産アセット部門でも、保有不動産の安定した賃料収入による下支えに加え、都心エリアに保有していた不動産物件の売却益が大きく収益に貢献した。以上の結果、不動産事業の業績は、売上高は34億81百万円(同70.6%増)、セグメント利益3億64百万円(同121.9%増)と大幅増収増益となった。

商業建築事業は、第1四半期に受注したパチンコホールやカラオケ店、宿泊施設等の設計・施工案件が順調に進捗したほか、キーノート独自のノウハウやリソースを活用し、利益率の高い新規案件を複数受注したことにより、大幅に収益を改善。以上の結果、商業建築事業の業績は、売上高6億36百万円(同16.7%増)、セグメント利益35百万円(同344.2%)と2ケタ増収大幅増益となった。

今期通期連結業績予想は、売上高240億円(前期比4.3%増)、営業利益9億円(同31.7%減)、経常利益7億50百万円(同35.8%減)、純利益5億円(同47.0%減)を見込む。

11月28日に第2四半期決算説明会が開催された。同社代表取締役社長齊藤 慶氏は下期のグループ方針について説明した。

下期の取組としては、既存アミューズメント事業の強化、新業態の横軸転換、積極的な不動産開発、新規事業の体制構築と4つの方針を示している。

既存アミューズメント事業の強化策として、比較的スマートフォンの影響を受けにくい、メダルゲームジャンルとクレーンゲームジャンルに注力していく。収益性の高いメダルゲームジャンルでは、マシンのラインナップを充実させ、各種イベントや細かなサービスを図ることで、堅実な収益を確保する。クレーンゲームジャンルでは、機械の増大と共に今はやりの女性向けキャラクターを強化し、子会社のブレイクと提携し、アドアーズオリジナル商品を増やすことで、差別化を図っていく。

ゲームセンターの新店に関しては、業界が縮小傾向にある中で、条件の合う物件次第では、慎重に協議して、継続して展開していく。
既存店舗のサービス向上に向けた施策としては、上期より継続して、女性従業員の拡充を推進する傍ら、10月から、2016年の新卒者を対象に、インターンシップの導入を開始した。さらに今後は、高卒者の正社員採用も積極的に行うことで、次世代の店舗運営形態を目指す。
2つ目の方針としてアミューズメント事業内での新業態の開発と横軸展開にも着手していく。内税であるゲームセンターの運営は、増税の影響を直接に受けるため、近い将来の増税も想定し、節税対応も可能な、店舗形態の展開に取組んで行く。
現在好調なカラオケ店では、各種コラボレーション企画を計画し、多様なコンテンツとのリレーション作りを図ることで、顧客層の拡大を目指す。既に11月からはプロジェクトアドアーズ池袋店4階をコンテンツカフェにリニューアルして運営を開始している。また、同3階を1部、物販専門コーナーとする等、従来のゲームセンターの店舗には無い形に転換を図っている。
アミューズメントカジノ業態については、カジノに対する需要と注目が高まることを前提に、横軸展開している。
アミューズメント事業のうち、全国に販売網を持つアミューズメント景品メーカーであるブレイクは、既存得意先の底上げや、ライセンス事業を強化し、従来より幅広い商品を展開するほか、今後は、アミューズメント景品以外でも新たな嗜好分野における商品も販売していく予定。

積極的な不動産開発については、用地仕入れなど競争が激しい不動産業界で、戸建て分譲事業については、都内、関西地区において、ワンランク上の居住空間を提案することで、差別化を図り、収益の拡大と安定化を図る。
今上期で最も収益貢献した不動産アセット部門については、Jトラスト、キーノートの不動産情報網を活用しながら、収益不動産の仕入れを徹底的に行うことで、収益の柱として活動していく。
商業建築事業については、得意とするパチンコホールや、カラオケ店等の商業施設での新規顧客の獲得に向けた営業活動を継続するほか、ホテル業界向けなどの新しい分野でも受注を拡大している。また、アドアーズグループの新規事業に関連した施工案件なども担当する予定である。

新規事業の収益貢献に向けた体制の構築については、今回新たに子会社となった日本介護福祉グル―プが展開する介護事業は、同社グループにとって、全くの新規の分野である。今後については、来年に予定されている法改正を見越し、アミューズメント、不動産、建築等の当社グループとのシナジーを発揮できるように、努める。

以上のような取り組みを進めることで、今期業績予想数値の達成を目指す。

主力のアミューズメント事業は、スマートフォン向けのゲームアプリの影響もあり、転換点を迎えている。同社では、特徴のあるアミューズメント施設を提案することで、事業の拡大を図る一方で、新たに介護事業に進出する等、親会社であるJトラストグループの代表取締役藤澤信義氏の強力な後押しにより、アドアーズグループの収益拡大に向けて取組んでいる。

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