【業績でみる株価】うかいは資産株としての評価に成長株評価が加わる、高級菓子を本格展開

業績で見る株価

うかい<7621>(JQ・売買単位100株)は、2016年3月期営業利益41%増益見通しと今後の成長期待から去る、5月28日に昨年1月の2580円を抜いて2600円と値を上げている。足元では高値圏で堅調だ。

2015年3月期の増収・減益から2014年1月高値のあとは昨年4月に2000円近くまで下げるなど昨年は総じて株価低調だった。高級和洋食レストランということで消費税の影響を受けたことと夏場の天候不順が重なり来客店数が減少。さらに、創業50周年関係の費用も加わった。結果、2015年3月期の売上は1.7%増の122億3400万円、営業利益は33.1%減の2億5600万円だった。

一方、昨年4月には同社としては4年ぶりとなる新店舗『銀座Kappou ukai』を出店、一昨年から力を入れている『アトリエうかい』の製菓販売において店頭販売と共に期間限定で他企業とコラボレーション販売を実施した。前期に銀座Kappou ukaiが売上2億円、製菓売上1億700万円がそれぞれ新たに寄与した。

有利子負債が大きく減少し財務内容が改善されたことも前3月期の特徴である。有利子負債は2009年3月期には89億4900万円、対売上比67.8%となっていたが、前3月期末では34億4900万円にまで大きく減少、対売上比でも31.6%へ低下した。

こうした財務内容の向上と売上の伸びが前期小さかったことから、マーケットでは同社株に対する評価が資産株としての印象が強まったとの指摘もある。しかし、成長性、とくに利益の伸びには引き続き期待できる。店づくりの根幹である、「物語のある空間」、「最高の料理」、「おもてなしの心」にいっそう磨きをかけていることで、うかいファンの堅実な拡大が期待される。日本の和食がユネスコ無形文化遺産へ登録されたことで外国人来店客も伸長している。来年12月には海外初出店となる台湾・高雄店のオープンを予定している。

今年4月には、「アトリエうかい八王子工房」を新設、製菓事業の販路拡大に力をいれる。6月23日開催予定の定時株主総会で一部定款の変更を行い、「食品の製造、加工および販売」、「インターネット等を利用した通信販売」を加え、製菓事業の伸長に取り組む。また、予約が取り難いという声に応えて間取りの変更などにも取り組む。

2016年3月期は売上0.6%増の123億200万円、営業利益は50周年関連の費用がなくなることもあり41.4%増の3億6300万円、1株利益32.7円、配当は年15円の見通し。

さらに、中期での2018年3月期には、製菓事業の拡大、高雄店の寄与などから売上129億5100万円、営業利益6億4600万円、営業利益率5%を目標としている。

店舗別の売上は次の通り(15年3月期)
・東京芝とうふ屋うかい(とうふ料理)=24億6400万円
・うかい鳥山(いろり炭火焼料理)=13億2700万円
・横浜うかい亭(高級鉄板料理)=11億6900万円
・銀座うかい亭(高級鉄板料理)=11億6100万円
・表参道うかい亭(高級鉄板料理)=10億2600万円
・八王子うかい亭(高級鉄板料理)=8億0600万円
・あざみのうかい亭(高級鉄板料理)=7億4600万
・とうふ屋うかい鷺沼店(とうふ料理)=6億7800万円
・とうふ屋うかい大和田店(とうふ料理)=5億9600万円
・うかい竹亭(会席料理)=5億2200万円
・グリルうかい丸の内(グリル料理)=3億0400万円
・銀座Kappou ukai(割烹料理)=2億円

株価は今期の大幅な増益と新事業と海外展開を評価して、中期で1999年の3520円を目指す展開が予想されそうだ。

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