トーセは調整一巡、ゲーム市場活性化で中期成長期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 トーセ<4728>(東1)は家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手である。21年8月期は減収減益予想としている。次期以降に向けた仕込みの期と位置付けて、開発体制充実・強化に向けた人材投資を推進する方針だ。ただし、次世代ゲーム機向けソフトや5G対応モバイルゲームなどでゲーム市場の活性化が予想されており、先行投資の成果で中期成長を期待したい。株価は上値を切り下げる形で軟調だったが調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。

■家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手

 家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手で、デジタルエンタテインメント事業(ゲームソフト関連、モバイルコンテンツ関連、パチンコ・パチスロ関連などデジタルコンテンツの企画・開発・運営の受託)、その他事業(SI事業、家庭用カラオケ楽曲配信事業、新規事業の創出)を展開している。

 20年8月期の売上高構成比はデジタルエンタテインメント事業が88%、その他事業が12%、営業利益構成比はデジタルエンタテインメント事業が86%、その他事業が14%だった。

 収益は開発業務の進行に合わせて受け取る開発売上、コンテンツ配信後の運営に伴う運営売上、コンテンツ販売数量に基づくロイヤリティ売上である。大型案件の開発受託の有無や、開発完了・売上計上時期などによって変動しやすい特性がある。

 複雑化・多様化するゲーム市場において、豊富なパイプライン展開を可能とする多彩な技術ポートフォリオ、長年の実績とノウハウに基づく信用力、開発売上とストック型の運営売上を持つ安定的なビジネスモデルを特徴としている。

 なお、こどもたちの命を守りたいと願う企業・団体が一体となって生まれた「京のこどもを守るプロジェクト」に協賛している。20年9月には、交通安全グッズとしてスウェーデン生まれのリフレクター(反射板)「グリミス」を、京都市交通対策協議会に寄付した。

 また日興アイ・アール「2020年度全上場企業ホームページ充実度ランキング調査」で優良サイト、モーニングスター「Gomez IRサイト総合ランキング2020」で優秀企業・銅賞に選定された。21年1月には令和2年度京都市輝く地域企業表彰「地域企業輝き賞」および「地域企業輝き特別賞」を受賞した。

■21年8月期1Qは減収・赤字、通期は人材投資で減益予想

 21年8月期連結業績予想は売上高が20年8月期比7.4%減の52億15百万円、営業利益が31.4%減の2億50百万円、経常利益が29.2%減の2億74百万円、当期純利益が28.5%減の1億62百万円としている。配当予想は20年8月期と同額の25円(第2四半期末12円50銭、期末12円50銭)である。

 セグメント別売上高計画は、デジタルエンタテインメント事業が6.0%減の46億56百万円(売上構成比はモバイルコンテンツ関連が49.5%、パチンコ・パチスロ関連が3.1%、ゲームソフト関連が47.4%)で、その他事業がITシステム開発案件の減少で18.2%減の5億59百万円としている。

 開発完了タイトルの計画は、スマートフォン向けゲームが6本(全てが通常よりも小規模なリメイク版)、据置型ゲーム機向けソフトが1本(マルチプラットフォーム向け)としている。開発金額50百万円以上の大型案件(試作案件含む)は12件の見込みである。

 第1四半期は売上高が前年同期比19.8%減の7億74百万円、営業利益が1億11百万円の赤字(前年同期は41百万円の黒字)、経常利益が1億09百万円の赤字(同55百万円の黒字)、四半期純利益が85百万円の赤字(同30百万円の黒字)だった。減収・赤字だったが、第1四半期は全体として売上高が他の四半期に比べて少なくなる傾向があるため、期初時点で赤字見込みだったとしている。

 デジタルエンタテインメント事業は10.6%減収だった。モバイルコンテンツ関連はスマートフォン向けゲームのロイヤリティ売上の伸長などで概ね順調だったが、家庭用ゲームソフトの大型案件について顧客要望で開発スケジュール変更が発生し、売上計上時期がズレ込んだ。その他事業は46.1%減収だった。巣ごもり消費で家庭用カラオケ楽曲配信事業のロイヤリティ売上が伸長したが、SI事業が前年の大型案件開発完了の反動減となった。

 通期予想は据え置いた。新型ゲーム機「プレイステーション5」や「Xbox Series X/S」の登場、5G対応モバイルゲームの登場などで開発ラインはフル稼働の状況だが、次期(22年8月期)以降に開発完了する案件に多く取り組んでいるため、減収減益予想としている。

 21年8月期は次期以降に向けた仕込みの期と位置付けて、大規模・高度化開発に耐えうる開発体制充実・強化に向けた人材投資を推進する方針だ。次世代ゲーム機向けソフトや5G対応モバイルゲームなどでゲーム市場の活性化が予想されており、先行投資の成果で中期成長を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は上値を切り下げる形で軟調だったが調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。2月24日の終値は818円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS21円44銭で算出)は約38倍、今期予想配当利回り(会社予想の25円で算出)は約3.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS789円02銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約64億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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