【編集長の視点】野村HDは昨年来高値を更新、期末配当の増配催促を3Q最高業績がフォロー

 野村ホールディングス<8604>(東1)は、前日8日に20.4円高の663.4円と4営業日続伸して引け、前場取引時間中に679.5円まで買い進まれ今年2月15日につけた昨年来高値662.2円を更新した。同社の今2021年3月期予想業績と期末配当は、経済情勢や相場環境などに不確実性があるとして未定とされているが、今年2月3日に開示した今期第3四半期(2020年4月~12月期、3Q)業績が、3Qとして過去最高を更新して着地しており、この好業績評価に期末配当の増配を催促する買い物がオンして買い増勢となった。期末配当は、市場コンセンサスでは15円、年間配当は35円(前期実績20円)と観測されており、この年間配当利回りは東証第1部高配当ランキングのトップ10入りすることから、配当権利取りが意識されている。

■3Q税引前利益は45%増益と続伸し2Q業績に続き過去最高

 同社の今期3Q業績は、金融費用を控除後の収益合計1兆2318億3700万円(前年同期比17.3%増)、税引前純利益3967億7100万円(同45.3%増)、純利益3085億2400万円(同22.7%増)と伸び、米国会計基準の適用を開始した2003年3月期以降で3Qとして過去最高となった。アセット・マネジメント部門に2.2兆円超の資金が流入し運用資金残高が61.2兆円と過去最高を更新して税引前純利益が前年同期比41%増の529億円となり、ホールセール部門の税引前純利益が前年同期比2.8倍の2302億円となり、海外ビジネスの全利益比率が前年同期の22%から42%にアップ、税引前純利益が1672億円と過去最高となったことなどが寄与した。3Qの実績1株利益(EPS)は101.03円となる。

 配当については、業績予想とともに未定としてきたが、中間配当については、今期第2四半期(2020年4月~9月期、2Q)累計業績が2Qとして過去最高で着地したことから20円(前年同期実績15円)に増配した。期末配当は未定としているが、年間35円(前期実績20円)への増配が市場コンセンサスとなっている。市場コンセンサス通りとなれば、年間配当利回りは5%台に乗せとなり、東証第1部高利回り率ランキングのトップ10入りする高利回りとなる。

■3Q実績PERはわずか6倍台でPBRも0.7倍

 株価は、世界同時株安で突っ込んだ昨年3月の昨年来安値365.5円から底上げし、今期第1四半期の過去2番目の好決算で556.6円高値、今期2Q累計業績の過去最高決算で599円高値をつけ、今期3Qの好決算では昨年来高値679.5円まで上値を伸ばしている。PERは、3Q実績EPS換算でわずか6倍台、PBRも0.72倍と割安で、証券各社の投資判断・目標株価引き上げも相次いでいる。昨年来高値抜けから次の上値フシとして2018年1月高値756.4円を目指し、なお一通過点となりそうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■全従業員にAI活用徹底、業務改革を本格化  LINEヤフー<4689>(東証プライム)は7月14…
  2. ■50年以上親しまれたかぜ薬が国内市場から姿を消す?  大正製薬は7月14日、塗るかぜ薬「ヴイック…
  3. ■鈴鹿8耐で新型CBコンセプト登場  ホンダ<7267>(東証プライム)は7月11日、大型ロードス…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■01銘柄:往年の主力株が再評価、低PER・PBRで買い候補に  今週の当コラムでは、買い遅れカバ…
  2. ■日米同時最高値への買い遅れは「TOPIXコア30」と「01銘柄」の出遅れ株でカバー  日米同時最…
  3. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  4. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…
  5. ■金先物相場を背景に産金株が収益拡大の余地を示す  東京市場では金価格の上昇を背景に産金株が年初来…
  6. ■大統領の交渉術が金融市場を左右し投資家心理に波及  米国のトランプ大統領は、ギリシャ神話に登場す…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る