【編集長の視点】ジョイフル本田は年初来高値に肉薄、株式分割の権利取りに高配当利回り買いがオン

編集長の視点

ジョイフル本田<3191>(東1)は、15円高の4925円と反発してスタートし、5月18日につけた年初来高値4965円に肉薄している。同社株は、6月20日を基準日に株式分割を予定しており、この権利付き最終日の16日を前に権利取りの買い物が再燃しており、さらに今6月期業績は、下方修正され減益転換が予想されているが、期末接近とともに新規導入された株主優待制度や連続増配予定の配当の権利取りも相乗している。

■期末配当1本の配当は連続増配し株主優待制度も導入

株式分割は、投資単位当たりの金額を引き下げることにより、同社株式の流動性の向上と投資家層の拡大を図ることを目的にしており、1株を2株に分割する。また株主優待制度は、今年2月に新規導入が発表され、次いで5月にこの優待制度の区分を変更し、100株から200株未満の株主には2000円分の買い物券を贈呈する。また今期配当は、期末1本で連結配当性向30%をメドとする配当政策に従って60円(前期実績50円)と連続増配とする。この優待制度と配当を合計する総合配当利回りは、東証1部平均配当利回り1.50%を上回る。

ただ同社の今6月期業績は、昨年4月の消費税増税前の駆け込み需要とその反動減が響いて下方修正され小幅増収転換・連続減益が見込まれている。売り上げ1771億5000万円(前期比0.2%増)、営業利益90億2000万円(同1.1%減)、経常利益104億3000万円(同1.4%減)、純利益65億5000万円(同2.1%増)としているもので、毎月の月次営業成績も、前年同月比マイナスが続き、今年5月7日に開示した今期第3四半期(3Q)業績も、前年同月比9.3%減収、29.9%営業減益、27.6%純益減益、28.9%純益減益で着地した。

ただ株主への利益還元策には前向きで、今年2月の今期業績の下方修正では株主優待制度導入を発表し、3Q決算開示時には株式分割を発表した。来2016年6月期業績は、消費税増税の影響が一巡し増益転換するとするのが市場コンセンサスとして形成されており、権利取り妙味も示唆している。

■最高値からの調整幅の3分の2戻し寸前でPBRは0.8倍となお割り負け

株価は、昨年4月に公開価格2700円で新規株式公開(IPO)され、初値を公開価格を下回る2650円でつけたものの、その後、上場来高値5620円まで買い進まれ、「小さく産んで大きく育てる」株価推移となった。最高値後は、業績伸び悩みが響いて3905円まで調整、テレビ番組に同社店舗が紹介される知名度の向上などから下げ過ぎとして底上げ、株式分割を歓迎し、最高値からの調整幅の3分の2戻し寸前となっている。PER評価では割高だが、PBRは0.8倍と割り負けており、全値戻しの最高値奪回も視野に入れよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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