【アナリスト水田雅展の銘柄分析】インタースペースは16年9月期の収益改善期待で出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 インタースペース<2122>(東マ)はインターネット広告事業を主力としている。株価は5月安値から切り返しの動きを強めている。15年9月期の減額修正と大幅減益予想の織り込みが完了し、16年9月期の収益改善期待で出直り展開だろう。

 アフィリエイト(成果報酬)型のインターネット広告事業を主力として、メディア広告やネイティブアプリなどのメディア運営事業も展開している。

 インターネット広告事業はアフィリエイトサービス「アクセストレード」を中心に事業展開し、携帯電話ショップをネットワーク化した店舗アフィリエイトサービス「ストアフロントアフィリエイト」も日本最大規模の店舗ネットワークに成長している。

 メディア運営事業では、日本最大級のママ向けコミュニティサイト「ママスタジアム」の月間ユニークユーザー数が15年1月に280万人を突破した。ソーシャルアプリは女性向け恋愛ゲームなどを展開している。

 アライアンス戦略を積極推進して、13年10月モバイル広告ネットワーク事業の米アーキ社と戦略的業務提携、13年11月O2Oマーケティングソリューション事業のモギー社と資本業務提携、13年12月中国の子会社ISUCが中国最大のアフィリエイトネットワーク「億起発(イーチーファー)」を提供するEMAR(イーマー)社と業務提携した。

 14年5月クーポン情報メディア「クーポンランド」運営のサイファ社に出資、14年7月クラウドソーシングサービス「ランサーズ」運営のランサーズ社と業務提携、14年8月スマートフォンアプリ向け動画広告配信ネットワーク「AppVador」運営のアップベイダー社と資本提携、14年12月子会社more gamesがサイバーエージェント<4751>とネイティブアプリ版恋愛ゲームで業務提携した。

 海外では14年11月インドネシア大手ポータルサイト「detik.com」と業務提携、14年12月ベトナム最大級のモバイル広告ネットワークを提供するMWORK社の第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。そして15年5月、MWORK社とベトナムに合弁会社インタースペース・ベトナム(当社出資比率49%)を設立した。インターネット市場の成長が加速するベトナムでインターネット広告サービスを展開する。

 15年2月にはゲームアプリ運営者向けに成果報酬型プレミアムメディアネットワーク「GAMEP(ガメップ)」の提供を開始した。当社が提携しているPC・タブレット・スマートフォン向けネットワークを通じて、さまざまな付加価値サービスをゲームアプリ運営者に提供する。

 15年5月にはアイモバイル(東京都)が運営する、ふるさと納税専門サイト「ふるなび」と連携し、アドウェイズ<2489>と共同で、日本発のふるさと納税アフィリエイトサービス「ふるなび」を開始した。

 5月12日発表した今期(15年9月期)第2四半期累計(10月~3月)の連結業績(4月30日に売上高を増額、利益を減額)は、売上高が前年同期比15.6%増の91億06百万円、営業利益が同75.2%減の1億11百万円、経常利益が同74.0%減の1億17百万円、純利益が同99.2%減の1百万円だった。

 インターネット広告事業におけるアフィリエイトサービスの金融およびEコマースカテゴリーが好調だったが、店頭アフィリエイトサービスの携帯販売件数の減少、媒体掲載のシェアを高めるための媒体への支払報酬増加に伴う粗利益率の低下、メディア運営事業における恋愛ゲーム新規タイトルの不振、さらに人件費・広告宣伝費・開発費の増加などで大幅減益だった。

 セグメント別に見ると、インターネット広告事業は売上高が同21.3%増の87億31百万円、営業利益が同60.0%減の1億71百万円、メディア運営事業は売上高が同45.1%減の3億75百万円、営業利益が60百万円の赤字(前年同期は20百万円の黒字)だった。

 なお四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(10月~12月)42億53百万円、第2四半期48億53百万円、営業利益は第1四半期20百万円、第2四半期91百万円だった。

 通期の連結業績見通しについて5月12日に減額修正した。前回予想(11月11日公表)に対して、売上高は3億70百万円減額して前期比11.0%増の186億30百万円、営業利益は3億37百万円減額して同58.5%減の3億23百万円、経常利益は3億14百万円減額して同57.0%減の3億40百万円、純利益は2億15百万円減額して同82.1%減の69百万円とした。配当予想は前回予想(11月11日公表)を据え置いて前期と同額の年間8円(期末一括)としている。

 インターネット広告事業における大手媒体との連携強化に伴う媒体に対する支払報酬の増加、メディア運営事業における恋愛ゲームの売上減少、さらに新サービス開発に向けた人材投資や海外展開などの先行投資負担などで減益見通しだ。

 なおメディア運営事業の子会社more gamesにおいて、ソーシャルメディア事業の縮小および人員整理を実施(同業他社への転職先紹介で30名が5月31日退職)した。これによって約10百万円/月の人件費削減が見込まれる。メディア運営事業は利益貢献が高いメディア事業に体制変更を進め、投資バランスを見直してアフィリエイト事業を中心に収益改善を図る方針だ。

 中期経営目標数値としては売上高250億円、営業利益15億円を目指し、重点戦略としてインターネット広告事業では国内アフィリエイトシェアの獲得と収益性向上、メディア運営事業ではメディア広告の強化と収益性向上、海外事業では各国のメディアネットワーク確保などを推進する方針を掲げている。

 15年9月期は大幅減益予想だが、16年9月期はソーシャルメディア事業の縮小効果や、先行投資の効果発現などで収益改善が期待される。

 株価の動きを見ると、15年9月期第2四半期累計および通期の減額修正を嫌気して5月1日に854円、そして5月18日に850円まで調整した。ただしその後は切り返しの動きを強めている。6月1日と4日には939円まで上伸した。調整が一巡したようだ。

 6月4日の終値935円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS10円19銭で算出)は92倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は0.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS406円20銭で算出)は2.3倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線を突破してトレンド好転の動きを強めている。15年9月期の減額修正と大幅減益予想の織り込みが完了し、16年9月期の収益改善期待で出直り展開だろう。

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