【アナリスト水田雅展の銘柄分析】トーソーは16年3月期は収益改善基調、0.5倍近辺の低PBRも評価

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 トーソー<5956>(東2)はカーテンレール・ブラインド類の大手である。株価は500円台前半の小幅レンジでモミ合う展開だが、調整一巡感を強めている。0.5倍近辺の低PBRも評価材料であり、16年3月期の収益改善基調を評価して反発展開だろう。

 カーテンレールやブラインド類の室内装飾関連事業を主力として、ステッキなど介護用品事業も展開している。

 中期戦略では「窓辺の総合インテリアメーカー」として、高付加価値商品の拡販、新商品開発のスピードアップ、ホテル・商業施設など非住宅分野における需要の取り込み、海外売上高の拡大、原価低減や総費用低減、新規領域としての介護用品事業の拡大などを掲げている。

 5月12日に発表した前期(15年3月期)の連結業績は、売上高が前々期比6.1%減の224億67百万円、営業利益が同22.0%減の8億05百万円、経常利益が同22.4%減の7億84百万円、純利益が同73.2%増の3億45百万円だった。

 配当予想は前々期と同額の年間10円(第2四半期末5円、期末5円)で、配当性向は30.4%となる。ROEは同1.2ポイント上昇して3.2%、自己資本比率は同3.0ポイント上昇して52.7%となった。

 住宅関連市場における消費増税の反動影響が長期化して減収減益だった。ただし各利益は10月31日の減額修正値を上回り、営業利益と経常利益は減益幅が縮小、純利益は増益幅が拡大した。継続的なコスト削減や生産性向上策が寄与した。

 純利益は大幅増益だった。特別損失に厚生年金基金解散損失引当金繰入額1億89百万円を計上したが、特別利益に投資有価証券売却益や事業譲渡益を計上し、前々期の特別損失に計上した希望退職特別加算金や貸倒引当金繰入額の一巡も寄与した。

 セグメント別に見ると、室内装飾関連事業は売上高が同6.1%減の221億57百万円、営業利益が同21.5%減の8億11百万円、その他は売上高が同4.1%減の3億10百万円、営業利益が6百万円の赤字(前々期は1百万円の赤字)だった。

 15年2月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)53億10百万円、第2四半期(7月~9月)55億38百万円、第3四半期(10月~12月)53億38百万円、第4四半期(1月~3月)62億81百万円、営業利益は第1四半期9百万円、第2四半期2億25百万円、第3四半期1億04百万円、第4四半期4億67百万円だった。

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期比4.6%増の235億円、営業利益が同11.8%増の9億円、経常利益が同12.2%増の8億80百万円、純利益が同44.9%増の5億円としている。配当予想は前期と同額の年間10円(第2四半期末5円、期末5円)で、予想配当性向は21.0%となる。

 消費増税の影響一巡、営業強化、高付加価値製品の拡販、製品価格改定などの効果で増収増益予想だ。純利益は前期計上した厚生年金基金解散損失引当金繰入額の一巡も寄与する。なお円安に伴う原材料価格上昇に対応して、15年7月6日受注分からカーテンレールおよび関連部品の価格改定を実施する。収益は改善基調だろう。

 株主優待は毎年3月31日現在の株主に対して実施し、1単元(100株)以上所有株主に対して1000円相当の優待品、10単元(1000株)以上所有株主に対して3000円相当の優待品を贈呈する。また環境保全活動の一環としてインドネシア共和国における「植林活動への寄付」も設けている。

 株価の動きを見ると、5月11日発表の前期利益増額修正を好感する場面があったが、買いが続かず500円台前半の小幅レンジでモミ合う展開だ。ただし500円台を割り込むことなく推移して調整一巡感を強めている。

 6月5日の終値506円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円59銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は2.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1091円41銭で算出)は0.5倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んで調整局面だが、52週移動平均線がサポートラインとなって下げ渋る形だ。0.5倍近辺の低PBRも評価材料であり、16年3月期の収益改善基調を評価して反発展開だろう。

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