TACは22年3月期大幅営業増益予想、株価は戻り試す

(決算速報)
 TAC<4319>(東1)は5月14日の取引時間終了後に21年3月期連結業績(5月11日に下方修正)を発表した。資格試験延期や教室講義中止など新型コロナウイルスの影響を受けて従来予想を下回ったが、原価低減や販管費抑制の効果で大幅営業増益だった。そして22年3月期も大幅営業増益予想とした。収益拡大を期待したい。株価は上値を切り下げる形だが、大幅営業増益予想を評価して戻りを試す展開を期待したい。

■21年3月期計画未達だが大幅営業増益、22年3月期も大幅営業増益予想

 21年3月期連結業績は、売上高が20年3月期比2.9%減の197億49百万円、営業利益が2.5倍の4億04百万円、経常利益が2.5倍の6億46百万円、親会社株主帰属当期純利益が3.9倍の4億05百万円だった。配当は20年3月期と同額の5円(第2四半期末2円、期末3円)とした。

 資格試験延期や教室講義中止など新型コロナウイルスの影響を受けて従来予想を下回ったが、原価低減や販管費抑制の効果で大幅営業増益だった。なお営業外収益には助成金収入1億66百万円を計上した。

 個人教育事業(現金ベース4.3%減収)および法人研修事業(同7.0%減収)は、新型コロナウイルスの影響(大学の休校、各種資格・検定試験の延期・中止、教室講義の中止、研修の縮小や実施延期・中止)を受けた。出版事業は8.8%増収だった。巣ごもり消費を背景として子会社の早稲田経営出版が展開する「Wセミナー」が伸長した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が51億05百万円で営業利益が5億12百万円、第2四半期は売上高が50億39百万円で営業利益が3億94百万円、第3四半期は売上高が45億49百万円で営業利益が3億65百万円の赤字、第4四半期は売上高50億55百万円で営業利益1億37百万円の赤字だった。講座申し込みは期前半に集中するが、営業費用は毎月一定額計上するため、利益は期前半に集中し、下期は赤字となる収益特性がある。

 22年3月期連結業績予想は、売上高が21年3月期比3.8%増の205億円、営業利益が48.3%増の6億円、経常利益が10.6%減の5億78百万円、親会社株西帰属当期純利益が6.3%減の3億80百万円としている。配当予想は1円増配の6円(第2四半期末3円、期末3円)である。

 新型コロナウイルスの影響で不透明感が強いが、新型コロナウイルス感染状況に応じた臨機応変な対応、新たな売上獲得および新たな事業領域への挑戦、賃借料の適切なコントロールなどを推進して営業増益予想としている。収益拡大を期待したい。

■株価は戻り試す

 株価は上値を切り下げる形だが、22年3月期大幅営業増益予想を評価して戻りを試す展開を期待したい。5月14日の終値は241円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS20円54銭で算出)は約12倍、時価総額は約45億円である。

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