【特集】低PERの1株純利益(EPS)ランキング上位銘柄に注目

 今週の当特集では、低PERの、「稼ぐ力」を表す全市場の1株純利益(EPS)のランキング上位銘柄に注目することとした。高EPS銘柄でも、予想PER算出の計算式の分母に当たる株価が高ければ、ランキング上位銘柄でも割高になる。そこでランキング上位に位置して低PERで、なおかつ今期純利益が増益・黒字転換予想にある銘柄に限定することとした。このスクリーニングからは日経平均採用銘柄、東証第1部、第2部、ジャスダック市場、マザーズ市場で景気敏感系中心にバラエティに富む銘柄が浮上しており、6月相場で景気敏感株人気の追い風になることを期待してマークしたい。

■東証1部では10位の黒崎播磨でもEPSは625円

 東証第1部のEPSランキングの第1位は、2854円の任天堂<7974>(東1)である。しかし株価が、6万円台の高値にありPERは23倍とスクリーニングの条件からはみ出してしまう。ということで条件をクリアしたベスト10銘柄は、EPSが1033円の芙蓉総合リース<8424>(東1)以下、大東建託<1878>(東1)、ナブテスコ<6268>(東1)、トヨタ自動車<7203>(東1)、しまむら<8227>(東1)、森永乳業<2264>(東1)、ケイアイスター不動産<3465>(東1)、日本紙パルプ商事<8032>(東1)、日鉄物産<9810>(東1)、黒崎播磨<5352>(東1)の順となり、10位の黒崎播磨のEPSは625円である。

 トヨタは、連続の過去最高業績予想にあり株価も最高値追いとなっているが、PERは10倍台で6月30日を基準日に1株を5分割する株式分割の権利付きで2500億円の自己株式取得も予定しており、文句なくオールマイティ銘柄としてリード役を務めよう。またナブテスコは、協業を解消したハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>(JQS)株式の売却益、森永乳業は固定資産の売却、紙パルプ商事は年金制度の改革が、それぞれ高EPSの要因となっており、本業もそれなり健闘していることもあり、独自材料を株価が再び織り込みにゆく展開も想定される。

■東証2部、JQ市場、東マ市場でもトップ5は多くがPBR1倍割れ

 東証第2部市場、ジャスダック市場は、日経平均株価採用銘柄に比べ、平均PERは劣位にあるが、個々の銘柄ベースでは高EPS・低PER銘柄は数多い。マザーズ市場を含めてスクリーニング条件に合致するベスト5銘柄は以下の通りとなる。東証第2部では、EPS1241円の南海プライウッド<7887>(東2)をトップにフジオーゼックス<7299>(東2)、岡山県貨物運送<9063>(東2)、弘電社<1948>(東2)と続き、572円の自重堂<3597>(東2)が第5位となる。ジャスダック市場では、エスケー化研<4628>(JQS)の2725円がトップで、第5位のアプライドの569円の間にテクノクオーツ<5217>(JQS)、太洋基礎工業<1758>(JQS)、フルヤ金属<7826>(JQS)が挟まれる。この多くがPBRも1倍割れで、配当利回りも市場平均を上回り、バリュー株妙味を示唆している。

 東証マザーズ市場では、意外なことに不動産関連の3社がトップ3を占め、EPS227円のランディックス<2981>(東マ)をトップにロードスターキャピタル<3482>(東マ)、フォーライフ<3477>(東マ)と続く。第4位がユナイテッド<2497>(東マ)、第5位が126円のAmidAホールディングス<7671>(東1)となる。AmidAは今年4月15日に今5月期業績の上方修正と初配当、さらにトヨタと同様に株式分割(基準日6月30日、1株を2株に分割)したばかりでトヨタ追撃に弾みがつきそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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