【インタビュー】アスカネットの福田幸雄社長に新分野への取組を聞く

アスカネット

■AI事業量産開始、今期初の製品売上寄与、NTTドコモと写真集・プリント提供で独占契約結ぶ

アスカネット<2438>(東マ・売買単位100株)は、フォトイノベーションをキーワードに3つの事業を展開している。創業以来の「メモリアルデザインサービス事業」、インターネットから写真集というパーソナルパプリッシングサービス事業」、そして新たに立上げている空中結像というユニークな技術による「エアリアルイメージング事業」である。エアリアルイメージング事業では今期から製品売上が計上されるほかNTTドコモとの間でフォトブック及びプリント提供の独占契約を結んでいる。新事業について現状を福田幸雄社長に聞いた。

――マーケットで注目の高い空中結像事業について改めてどういうものかお願いします。

【福田社長】 画像や映像を表す光を受け、特殊なパネル(AIプレート)を通過することによって反対側の空中に映像を結像する技術です。画像映像の新しい表現方法です。広告デザイン、車両関係などさまざまな分野での利用が考えられます。当社はAIプレートを提供する素材メーカーとしてファブレス形態で製造し自社ブランドで提供します。

――開発の経緯と現状を。

【福田社長】 2011年3月に特許を取得し、事業を開始しました。一昨年10月のCEATECに出展したところ出展期間中は長蛇の列ができるほどの人気で、出展後には引き合いが急増しました。それ以降、量産技術の本格的な研究を複数の会社と取り組んできました。

――量産に目処がついたのでしょうか。

【福田社長】 AIプレート素材には、「ガラス」と、「樹脂」の2つがあります。ガラス素材プレートは、コストおよび量産性が相対的に劣るものの、結像品質は非常に優れています。一方の樹脂プレートは、コスト及び量産性は相対的に優れていますが結像品質は相対的に劣っています。当社は平行して両プレート素材の量産技術確立を目指して取り組んでいますが、先ず、ガラス素材のプレートについて今年夏から秋にかけて量産が開始できる見込みです。

――どのていどの量産でしょうか。

【福田社長】 量産には規模などで様々な段階が考えられますが、当社が想定している第Ⅰ段階の量産はリスク等を考慮し、現有の設備やラインを最大限に活用することを前提としています。いきなり大規模な量産は指向していません。

――今4月期には初めて、「製品」として売上げが計上されるわけですか。

【福田社長】 そうです。これまでは試作品としての売上でしたが、今期には一部試作品も含めて製品売上として1億3300万円(前期は試作品売上5600万円)を予定しています。

――もう一つ、新しい展開としてNTTドコモと提携されました。

【福田社長】 NTTドコモが新たに開始する『フォトコレクションプラス』向けに去る5月21日からフォトブックおよびプリント商品を独占供給することになりました。数社の中から品質、セキュリティ、供給能力などの非常に厳しい基準で選ばれました。

――売上げはどのていど見込めますか。

【福田社長】 数字的なことは明確に言えませんが、現在、ドコモの写真アプリ「フォトコレクション」のアクティブユーザーが450万人以上と聞いていますからマーケット規模としては楽しみです。フォトコレクションに保存された写真の中からお客さんが選択された写真を使ってフォトブック(1冊)またはLプリント(30枚)に印刷し、月額料金280円(送料一回分含む)で毎月ご指定の場所(国内)にお届けするサービスです。当社は新たに工場を整備し人員も増強、長年培ったフォトブック製作のノウハウを活かした商品供給を行っていきます。

――2016年4月期見通しはいかがでしょうか。

【福田社長】 ドコモ関連の新工場及び人員増はありますが、メモリアルデザインサービス事業、パーソナルパブリッシング事業とも順調でギフトネットコムの赤字縮小もあり増収増益を見込んでいます。売上は8.9%増の54億2200万円、営業利益14.1%増の7億2800万円の見通しです。昨年11月に株式4分割を実施しています。配当は年9円の予定で、分割前で比べると4円増配となります。

【株価】 年初来高値は4月21日の3430円、同安値は1月7日の2312円で6月15日の終値は前日比14円高の2495円である。

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