【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アルファ再動意で急伸、低PBRも評価材料

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 アルファ<4760>(JQS)はPOP広告など店舗販促用品の企画・製作を展開する総合販売促進企業である。株価は15日に再動意の形となって前日比34円高の243円まで急伸する場面があった。8月期末一括で2%台の配当利回り、0.8倍近辺の低PBRも評価材料であり、収益改善期待で3月の年初来高値270円を目指す展開だろう。

 POP広告やイベント関連商品など、店舗販促用品の企画・製作を展開する総合販売促進企業である。14年8月期の商品別売上構成比は、自社企画製品15.4%、別注製品54.1%、商品30.5%だった。

 日本最大級の販促通販サイト「POP GALLERY」による自社企画製品の拡販、メーカー・小売のタイアップ企画である消費者向け販促キャンペーンの受注拡大、動画POPなどデジタルサイネージ(デジタル技術を活用した広告媒体)を組み込んだ新販促商品・サービスの企画・提案営業を強化している。五感を刺激して購買意欲を喚起させる新メニューとして、香りのプロモーションツール「かおるくん」が好調だ。

 今期(15年8月期)の非連結業績予想(10月14日公表)は売上高が前期比4.5%増の70億円、営業利益が同8.8%増の1億70百万円、経常利益が同2.9%増の1億65百万円、純利益が同0.6%増の70百万円としている。配当予想は前期と同額の年間5円(期末一括)で、予想配当性向は57.5%となる。

 自社企画製品ではeコマースを利用した受注増加、別注製品では企画提案強化による消費者向け販促キャンペーンの受注増加、メーカーからの企画料・デザイン料など役務売上の増加、商品ではイベント関連の受注増加を見込み、採算性を重視した選別受注による粗利率改善や、販管費圧縮なども寄与して増収増益見通しだ。

 第2四半期累計(9月~2月)は前年同期比6.9%減収、同5.9%営業減益、同6.5%経常減益、同12.6%最終増益で、製品別売上は自社企画製品が同0.0%減収、別注製品が同3.2%減収、商品が同16.8%減収だった。

 自社企画製品のeコマース(オンラインショップ)売上や、イベント関連商品売上は堅調だったが、中小スーパーなどの販促費削減傾向が継続し、別注製品における前年の大口スポット受注の一巡、装飾物や演出物の受注減少などが影響して減収、営業減益、経常減益だった。

 ただし、粗利率の高い自社企画製品の売上構成比上昇や、不採算取引見直しの効果で粗利率は同1.1ポイント上昇した。純利益は法人税等の減少が寄与した。

 四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(9月~11月)18億35百万円、第2四半期(12月~2月)15億78百万円、営業利益は第1四半期1億03百万円、第2四半期92百万円だった。クリスマス・年末・年始商戦などで上半期(9月~2月)の構成比が高い収益構造である。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48.8%、営業利益が114.7%、経常利益が118.8%、純利益が172.9%である。上半期(9月~2月)の構成比が高い収益構造だが、粗利率の改善も寄与して通期上振れ余地があるだろう。15年春闘で高額ベア回答が相次ぎ、賃金上昇で消費マインド改善が期待されていることも追い風だ。

 中期的な収益力向上に向けては、ショッパー(買い物客)の購買行動やインサイト(深層心理)を捉えた「買い物コミュニケーション創造企業」を目指している。中期経営計画では目標数値として16年8月期の売上高78億円、経常利益2億円、純利益1億円を掲げている。中期的に収益拡大が期待される。

 株価の動きを見ると、4月の戻り高値239円から反落し、5月以降は概ね210円近辺でモミ合う展開だったが、6月15日に動意づいて前日比34円(16.27%)高の243円まで急伸する場面があった。15年8月期の増収増益予想を評価し、出遅れ感のある中小型株を物色する流れにも乗ったようだ。

 6月15日の終値220円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS8円70銭で算出)は25~26倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は2.3%近辺、そして前期実績PBR(前期実績のBPS285円53銭で算出)は0.8倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって下値切り上げトレンドを継続している。8月期末一括で2%台の配当利回り、0.8倍近辺の低PBRも評価材料であり、収益改善期待で3月の年初来高値270円を目指す展開だろう。

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