【アナリスト水田雅展の銘柄分析】第一実業は直近安値から切り返して調整一巡、9月高値試す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 機械専門商社の第一実業<8059>(東1)の株価は、9月の年初来高値623円から反落し、全般地合い悪化が影響して10月14日の522円まで調整した。しかし足元では550円~560円近辺まで切り返して調整一巡感を強めている。今期(15年3月期)増収増益見通しを評価する流れに変化はなく9月高値を目指す展開だろう。なお11月4日に第2四半期累計(4月~9月)の業績発表を予定している。

 機械の専門商社で、プラント・エネルギー事業、エレクトロニクス事業、産業機械事業、その他事業を展開し、海外は米州、中国、東南アジア・インド、欧州の世界18カ国36拠点で事業展開している。13年5月発表の新経営計画「AIM2015」では、最終年度16年3月期の売上高1550億円、営業利益57億円、経常利益59億円、純利益37億円を目標値として掲げている。グローバルビジネスを積極展開する方針だ。

 新規事業としては、植物工場システムの販売に関するプロジェクトを立ち上げて、埼玉県入間市にパイロットプラントを建設した。また14年3月には長野県飯田市でメガソーラー「第一実業飯田太陽光発電所」が竣工した。茨城県笠間市の太陽光発電所に続く2カ所目のメガソーラーだ。

 米アクセスエナジー社のバイナリー発電装置に関しては、14年4月に日本国内での独占的製造権を取得し、14年5月に地熱・温泉業界向け小型バイナリー発電装置の独占販売代理店契約を締結した。地熱、温泉熱、焼却廃熱、一般工場廃熱など、未利用熱エネルギーを有効活用して発電するバイナリー発電システムの普及拡大を目指す戦略で、15年4月までに国内での製造を開始する予定だ。

 10月16日には、10月28日~11月1日開催(幕張メッセ)の「国際プラスチックフェア2014」に出展すると発表した。プラスチック製造に関する最先端の装置を実機展示する。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月9日公表)を据え置いて売上高が前期比14.7%増の1400億円、営業利益が同22.7%増の50億円、経常利益が同16.2%増の52億円、純利益が同30.1%増の32億円としている。配当予想は年間16円(第2四半期末8円、期末8円)で前期との比較で見れば2円減配だが、記念配当3円を落としているため普通配当ベースで見れば実質的に1円増配となる。

 セグメント別売上高の計画はプラント・エネルギー事業が同20.0%増の340億円、エレクトロニクス事業が同18.7%増の360億円、産業機械事業が同4.1%増の380億円、海外法人が同18.4%増の290億円、その他が同24.7%増の30億円としている。自動車関連業界の設備投資需要が国内外で高水準であり、やや低調だった電子部品実装関連の需要も回復する見込みだ。

 第1四半期(4月~6月)はプラント・エネルギー事業の大型案件計上、自動車関連業界向け設備需要の好調、アジアの電子部品実装関連設備や車載関連機器製造装置の好調などで、売上高が前年同期比29.4%増の大幅増収となり、営業利益が黒字化した。通期見通しに対する進捗率は低水準だが、設備投資関連は第4四半期(1月~3月)に売上が集中する傾向が強い収益構造のため特にネガティブ要因とはならない。

 前期末の受注残高は626億54百万円(前々期末比8.5%増)と高水準である。さらに第1四半期(4月~6月)の受注高も前年同期比17.2%増の427億64百万円と好調に推移し、通期受注高計画(前期比14.2%増の1450億円)に対する進捗率は29.5%と高水準である。国内外での高水準の設備投資需要を背景に通期ベースで好業績が期待される。

 株価の動きを見ると、9月2日の年初来高値623円から利益確定売りや9月中間配当落ちなどで反落し、さらに全般地合い悪化が影響して10月14日の522円、10月17日の523円まで調整した。しかし足元では550円~560円近辺まで切り返して調整一巡感を強めている。

 10月27日の終値548円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円35銭で算出)は9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は2.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS586円85銭で算出)は0.9倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から切り返しの動きを強めている。サポートラインを確認した形だ。今期増収増益見通しを評価する流れに変化はなく9月高値を目指す展開だろう。

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