【アナリスト水田雅展の銘柄分析】新日本建物は急動意で強基調に転換、収益改善基調を評価して1月高値試す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 マンション・戸建販売の新日本建物<8893>(JQS)の株価は、10月の年初来安値36円から切り返す展開となった。特に12月に入って動意付く形となり、12月8日には60円まで急伸する場面があった。10月安値で底打ちして強基調に転換した形だ。収益改善基調を評価して1月の年初来高値73円を試す展開だろう。

 首都圏地盤の不動産デベロッパーで、流動化事業(他デベロッパー向けマンション用地販売)、マンション販売事業(自社開発物件の分譲、新築マンションの買取再販)、戸建販売事業(戸建住宅・宅地分譲)、その他事業(不動産賃貸や建築工事請負)を展開している。

 10年11月に提出した事業再生計画に基づいて、マンション販売事業の買取再販、流動化事業の専有卸、戸建住宅販売事業を主力として経営再建に取り組んでいる。そして前期(14年3月期)は事業再生計画決定後3期連続の最終黒字を達成し、前期末の自己資本比率は27.5%まで改善した。

 今期(15年3月期)の業績(非連結)見通しについては前回予想(5月9日公表)を据え置いて売上高が前期比14.4%増の123億円、営業利益が同1.2%増の6億70百万円、経常利益が同7.5%減の4億05百万円、純利益が同7.5%減の4億円としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比39.4%減収となり、営業利益、経常利益、純利益とも赤字だった。流動化事業の販売が0件(前年同期は2件)だったことに加えて、マンション販売戸数は36戸で同26戸減少し、戸建販売棟数は51棟で同8棟減少した。

 ただし売上総利益率は16.5%で前年同期の13.6%から2.9ポイント改善した。収益改善は着実に進展しているようだ。有利子負債圧縮など財務面の改善も着実に進展している。通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は低水準だが、第3四半期(10月~12月)以降に流動化事業の販売を予定しており、通期ベースでは増収営業増益が期待される。

 株価の動きを見ると、10月17日の年初来安値36円から切り返す展開となった。特に12月に入って動意付く形となり、12月8日には60円まで急伸する場面があった。10月安値で底打ちして収益改善基調を評価する動きだろう。

 12月9日の終値52円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS4円02銭で算出)は12~13倍近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS15円98銭で算出)は3.3倍近辺である。週足チャートで見ると戻りを押さえていた26週移動平均線、そして52週移動平均線を突破した。強基調に転換した形だ。1月の年初来高値73円を試す展開だろう。

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