【アナリスト水田雅展の銘柄分析】新日本建物は調整一巡して切り返し局面、収益改善基調を評価

銘柄分析

 マンション・戸建販売の新日本建物<8893>(JQS)の株価は、全般地合い悪化も影響して5月安値41円を割り込んだ。ただし10月17日に付けた年初来安値36円から切り返しの動きを強め、10月27日には41円まで戻している。収益改善基調であり、調整が一巡して切り返し局面だろう。なお11月7日に第2四半期(4月~9月)の業績発表を予定している。

 首都圏地盤の不動産デベロッパーで、流動化事業(他デベロッパー向けマンション用地販売)、マンション販売事業(自社開発物件の分譲、新築マンションの買取再販)、戸建販売事業(戸建住宅・宅地分譲)、その他事業(不動産賃貸や建築工事請負)を展開している。

 10年11月に提出した事業再生計画に基づいて、マンション販売事業の買取再販、流動化事業の専有卸、戸建住宅販売事業を主力として経営再建に取り組んでいる。そして前期(14年3月期)は事業再生計画決定後3期連続の最終黒字を達成し、前期末の自己資本比率は27.5%まで改善した。

 今期(15年3月期)の業績(非連結)見通しについては前回予想(5月9日公表)を据え置いて売上高が前期比14.4%増の123億円、営業利益が同1.2%増の6億70百万円、経常利益が同7.5%減の4億05百万円、純利益が同7.5%減の4億円としている。

 売上面では、流動化事業が第2四半期(7月~9月)以降の販売予定で同6億円増加、戸建販売事業が同8億円増加の計画である。一部では消費増税の影響を受けるが、流動化事業の伸長や販売効率の改善などで増収営業増益の見通しとしている。

 第1四半期(4月~6月)は流動化事業の販売が0件(前年同期は1件)だったことや、戸建販売事業での一部工事遅延も影響して前年同期比59.1%減収となり、営業利益、経常利益、純利益とも赤字だった。しかし売上総利益率は18.4%で前年同期の12.2%から6.2ポイント改善した。収益改善は着実に進展しているようだ。

 また第1四半期末時点の有利子負債残高は48億17百万円で、前期(14年3月期)末に比べて5億41百万円減少した。自己資本比率は28.2%となって同0.7ポイント上昇した。財務面の改善も着実に進展している。

 株価の動きを見ると、全般地合い悪化も影響して5月の安値41円を割り込み、水準を切り下げた。ただし10月17日に付けた年初来安値36円から切り返しの動きを強め、10月27日には41円まで戻している。調整がほぼ一巡したようだ。

 10月27日の終値40円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS4円02銭で算出)は10倍近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS15円98銭で算出)は2.5倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、日足チャートで見ると25日移動平均線突破の動きを強めている。調整が一巡して切り返し局面だろう。

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