カナモトは反発の動き、21年10月期3Q累計増収増益と順調

 カナモト<9678>(東1)は建設機械レンタルの大手である。中期成長に向けて国内営業基盤拡充、海外展開、内部オペレーション最適化、レンタルビジネス収益性向上を推進している。21年10月期は増収増益予想としている。第3四半期累計は需要が堅調に推移し、将来を見据えた人財投資などを吸収して増収増益と順調だった。災害復旧・防災・インフラなど国土強靭化関連工事で公共投資が堅調であり、通期ベースでも収益拡大を期待したい。株価は第3四半期累計業績も好感する形で反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■建設機械レンタル大手

 建設機械レンタルの大手で、海外向け中古建設機械販売、土木・建築工事用鉄鋼製品販売、IT機器・イベント関連レンタル、福祉用具レンタルなども展開している。M&Aも活用し、北海道を地盤として全国展開と業容拡大を加速している。

 21年9月に中頓別機械センター(北海道枝幸郡中頓別町)を開設し、営業拠点数は212拠点、グループ合計537拠点となった。

 20年10月期の売上高構成比は建設関連事業89.8%、その他事業(鉄鋼関連事業、情報通信関連事業、福祉関連事業など)10.2%、営業利益構成比(連結調整前)は建設関連事業93.0%、その他事業7.0%だった。

 収益面では建設工事の影響を受けやすく、売上高が第4四半期(8~10月)から第1四半期(11月~1月)にかけてピークとなり、第2四半期(2~4月)および第3四半期(5~7月)は減少する季節特性がある。

■中期経営計画で24年10月期営業利益230億円目標

 中期経営計画「Creative 60」では、目標値として24年10月期売上高2280億円、営業利益230億円、営業利益率10.1%などを掲げている。

 重点施策として、グループ総力を結集した国内営業基盤の拡充(既存エリアの深掘り、未進出エリア・低シェア領域の開拓、非建設分野への進出)、海外戦略2.0(Next Generation)へのバージョンアップ(グローバルポートフォリオの最適化、カナモト版グローバルプラットフォームの確立、海外M&Aの取り組み、海外売上比率10%への布石)、内部オペレーション最適化とレンタルビジネスの収益性向上(営業戦略とITの融合、工事現場に必要な技術・システムの開発、業務効率向上、原価コントロール、長期的な安定稼働など)を推進している。

 20年9月には豪州の企業グループPPGの全株式を取得する株式譲渡契約書締結を発表した。株式譲渡実行日は20年9月30日以降、関係当局の承認取得を前提に設定するとしている。また20年9月にはソーキホールディングス(大阪市中央区)の全株式を取得し、ソーキホールディングス、測量機・計測機器のレンタルや自動計測システムの開発・レンタルなどを展開するソーキ、およびソーキ販売を子会社化した。

 21年4月には子会社アシストが、19年12月に子会社化した什器備品・ウォーターサーバーレンタルのコムサプライを吸収合併した。21年5月にはシステムソリューション商社の岩崎(札幌市)と業務提携した。21年9月には子会社のニシケンが子会社の九州建産を吸収合併した。

 また21年7月には、ESG経営に基づくガバナンス強化に向けて、金融安定理事会(FSB)によって設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明するとともに、TCFDコンソーシアムに参画した。

■21年10月期増収増益予想で3Q累計増収増益と順調

 21年10月期連結業績予想は、売上高が20年10月期比6.3%増の1903億円、営業利益が5.3%増の150億円、経常利益が6.5%増の152億円、親会社株主帰属当期純利益が6.3%増の90億円としている。配当予想は5円増配の70円(第2四半期末25円、期末45円)である。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比6.4%増の1414億55百万円、営業利益が2.2%増の108億95百万円、経常利益が10.4%増の115億48百万円、親会社株主帰属四半期純利益が11.1%増の68億26百万円だった。

 売上面は中古建機販売が期初計画どおりの売却で減少したが、公共投資を中心に建設関連需要が堅調に推移して増収となり、人財投資などを吸収して増益だった。建設関連は6.8%増収(うち中古建機販売は7.0%減収)で1.1%増益、その他は3.0%増収で14.9%増益だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高476億60百万円で営業利益39億81百万円、第2四半期は売上高475億65百万円で営業利益41億37百万円、第3四半期は売上高462億30百万円で営業利益27億77百万円だった。

 通期予想は据え置いた。中期的需要見通しに対する資産の最適保有と機種構成を確保し、変化に対応したイノベーション、業務効率化や生産性向上などで収益力強化を図るとしている。

 第3四半期累計の進捗率は売上高が74.3%、営業利益が72.6%、経常利益が76.0%、当期純利益が75.8%と概ね順調だった。災害復旧・防災・インフラなど国土強靭化関連工事で公共投資が堅調であり、通期ベースでも収益拡大を期待したい。

■株価は反発の動き

 株価は第3四半期累計業績も好感する形で反発の動きを強めている。出直りを期待したい。9月8日の終値は2655円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS238円02銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想70円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3150円30銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約1029億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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