【アナリスト水田雅展の銘柄分析】メディアスHDは16年6月期の収益改善期待で4月高値目指す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 メディアスホールディングス<3154>(JQS)は医療機器販売事業を展開している。株価は15年6月期業績減額修正を嫌気した5月安値2350円から切り返し、戻り高値圏の2600円~2700円近辺で推移している。16年6月期の収益改善期待で4月の年初来高値2900円を目指す展開だろう。

 医療機器・医療材料の販売事業を主力として、介護・福祉機器の販売・レンタル事業も展開している。静岡県・神奈川県を地盤とする協和医科器械、およびオズの首都圏・愛知県エリアへの営業強化策に加えて、M&Aを積極活用して営業エリアと規模の拡大戦略を推進している。

 10年7月に栗原医療器械店(群馬県太田市)、12年7月にネットワーク(東京都新宿区)、13年7月に秋田医科器械店(秋田県秋田市)、14年7月にジオット(福島県郡山市)を完全子会社化し、14年10月には福井県内でトップシェアを誇る福井医療(福井県福井市)と資本業務提携した。

 商品戦略では医療機関への医療機器・医療材料の販売に加えて、手術室運営支援ソフトウェア、医療材料データベース、プライベートブランド商品などの販売も促進し、複合的サービスを強化している。

 手術室業務支援ソフトウェア「サージレーン」は、効率の良い病院手術室運営を提案して機器・備品売上の拡大に繋げる戦略商品である。14年6月期末時点の導入施設数は大病院を中心に8施設で、16年6月期には新たに3施設の導入を予定しているようだ。医療材料データベース・医療材料分析サービス「メッカル」は医療材料価格の最適化を支援するツールで、14年6月期末時点で84施設に導入している。

 14年10月には子会社ケアフォースを設立した。医療・介護用移乗機器および電動ベッドなどの輸入・販売事業を展開する。また海外展開は、インドにおける鴻池運輸<9025>との医療データベース合弁会社CARNA MEDICAL DATABASEで、医療物流プラットフォームの構築を推進している。

 今期(15年6月期)の連結業績予想(5月8日に減額修正)は、売上高が前期比0.7%減の1450億円、営業利益が同54.1%減の7億35百万円、経常利益が同46.6%減の10億90百万円、純利益が同42.2%減の5億60百万円としている。配当予想については、前回予想(8月11日公表)を据え置いて前期と同額の年間80円(期末一括)としている。予想配当性向は44.9%となる。

 第3四半期累計(7月~3月)は前年同期比3.2%減収、同53.2%営業減益、同48.2%経常減益、同47.6%最終減益だった。消耗品は新規獲得のSPD(病院医療材料管理業務)契約も寄与して堅調だったが、備品は医療機関の設備投資や予算執行が想定を下回り大幅減少した。利益面では仕入価格引き下げ効果などで売上総利益率が0.3ポイント上昇したが、首都圏営業強化策に伴う人件費の増加などで営業利益は大幅減益だった。

 なお四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(7月~9月)339億31百万円、第2四半期(10月~12月)384億20百万円、第3四半期(1月~3月)390億48百万円、営業利益は第1四半期1億03百万円の赤字、第2四半期3億70百万円、第3四半期5億52百万円だった。医療機関の設備投資予算執行が集中する第3四半期(1月~3月)の構成比が高い収益構造である。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が76.8%、営業利益が111.4%、97.7%、純利益が95.0%だった。第3四半期(1月~3月)の構成比が高い収益構造のため高水準である。

 来期(16年6月期)についても備品は医療機関の設備投資抑制や病院数減少の影響が懸念されるが、一方では利益率の高い消耗品の売上が増加基調であり、円安に伴う海外メーカーからの仕入価格引き下げ要求も想定ほど出ていないようだ。収益改善が期待される。

 中期的には、首都圏および愛知県エリアなどへの営業強化、M&A・アライアンスによる営業エリア拡大、新規取引先の獲得、SPD(病院医療材料管理業務)事業の拡大、複合的サービスの強化、大量購買による仕入価格低減、業務効率の改善などが寄与して収益拡大が期待される。

 株価の動きを見ると、15年6月期業績減額修正を嫌気して急反落したが、5月11日の2350円から切り返し、戻り高値圏の2600円~2700円近辺で推移している。

 6月25日の終値2623円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS178円33銭で算出)は14~15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間80円で算出)は3.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績に増資を考慮した連結BPS2253円06銭で算出)は1.2倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線に続いて13週移動平均線を回復した。調整が一巡し、16年6月期の収益改善期待で4月の年初来高値2900円を目指す展開だろう。

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