ソフトクリエイトホールディングスは年初来高値圏、22年3月期2桁増益予想、さらに上振れの可能性

 ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東1)はECソリューション事業およびITソリューション事業を展開している。22年3月期はIT投資需要が高水準に推移して2桁増益予想としている。クラウドサービスの伸長などで通期予想は上振れの可能性が高いだろう。DXの流れも背景として収益拡大基調を期待したい。株価は順調に水準を切り上げて年初来高値圏だ。自律調整を交えながら20年10月の上場来高値を目指す展開を期待したい。

■ECソリューション事業とITソリューション事業を展開

 ITソリューションサービスを展開する持株会社である。セグメント区分(22年3月期から変更)は、ECソリューション事業およびITソリューション事業としている。

 ECソリューション事業は、ECサイト構築、デジタルマーケティング、ECクラウドサービスを展開している。子会社ecbeingのECサイト構築ソフトecbeingの販売・保守・ホスティングサービスが主力である。

 ECサイト構築ソフトecbeingは、ECサイト構築からマーケティング支援やデータ分析までワンストップで対応していることが強みだ。中~大規模顧客向けが主力で、国内ECサイト累計構築実績は21年3月期末時点で1400サイトを突破している。市場シェアは13年連続1位(出典:富士キメラ総研社の富士マーケティングレポート ECサイト構築パッケージソリューション市場占有率調査)である。

 ITソリューション事業は、ITクラウドサービス、セキュリティ・インフラ構築サービス、パッケージ、IT機器販売を展開している。

 自社開発のSCクラウド、不正アクセス端末検知・遮断システムL2Blocker、子会社エイトレッド<3969>が展開するワークフローシステム(パッケージ型のAgileWorks、クラウド型のX-point Cloud)、子会社ソフトクリエイトのシステムインテグレーション・IT機器販売を主力としている。

 21年3月期のセグメント別売上高(収益認識基準第29号適用前)は、ECソリューション事業が116.9億円(ECサイト構築ecbeingが67.3億円、デジタルマーケティングが43.4億円、ECクラウドサービスが6.1億円)、ITソリューション事業が125.5億円(ITクラウドサービスが13.2億円、セキュリティ・インフラ構築サービスが38.1億円、パッケージが17.4億円、IT機器販売が56.5億円)だった。

■クラウドサービスの拡大を推進

 成長戦略としてクラウドサービスの拡大を推進している。クラウドサービスの売上高は18年3月期8.2億円、19年3月期11.9億円、20年3月期15.3億円、21年3月期19.3億円(ECクラウドサービスが6.1億円、ITクラウドサービスが13.2億円)と拡大基調である。

 さらに新サービス(メルカート、ビジュモ、レビコ、サイトミライズ、ゼクスタントなど)の拡販にも注力している。なお22年3月期第1四半期時点の合計導入社数は、ECクラウドサービス分野のメルカートが84社、ビジュモが335社、レビコが48社、サイトミライズが106社、ゼクスタントが30社、ITクラウドサービス分野のSCクラウドが454社、X-point Cloudが847社、L2Blockerが181社となっている。

 21年6月には、インスタグラムの写真を自社サイトに活用するビジュモのソリューションが、トヨタ自動車公式サイトに採用された。

■22年3月期2桁増益予想、さらに上振れの可能性

 22年3月期の連結業績予想(収益認識に関する会計基準第29号適用のため売上高の前期比増減率は非記載、利益に影響なし)は、売上高が192億円、営業利益が21年3月期比10.0%増の35億50百万円、経常利益が10.1%増の35億75百万円、親会社株主帰属当期純利益が10.0%増の20億円としている。配当予想は21年3月期と同額の30円(第2四半期末15円、期末15円)である。

 売上高の計画は収益認識基準適用前ベースでは270億円としている。21年3月期実績の242億38百万円との比較で11.4%増収となる。特にクラウドサービスが大幅伸長し、人件費・採用費・広告宣伝費の増加を吸収して、実質的に2桁増収増益の計画としている。

 セグメント別売上高(収益認識基準適用後)の計画は、ECソリューション事業が108億円(ECサイト構築ecbeingが70億円、デジタルマーケティングが30億円、ECクラウドサービスが8億円)、ITソリューション事業が86億円(ITクラウドサービスが16億円、セキュリティ・インフラ構築サービスが43億円、パッケージが18億円、IT機器販売が9億円)としている。なお会計基準変更の影響は特にIT機器販売において見掛け上の減収要因となる。

 第1四半期は売上高が49億26百万円、営業利益が前年同期比33.4%増の9億01百万円、経常利益が28.0%増の9億51百万円、親会社株主帰属四半期純利益が28.7%増の5億64百万円だった。

 収益認識基準適用に伴って見掛け上は減収(収益認識基準適用前の前年同期実績は57億74百万円)の形だが、旺盛なIT投資需要も背景として実質的に増収増益だった。クラウドサービスの大幅伸長などで期初計画(売上高45.1億円、経常利益8.4億円)を上回った。

 セグメント別売上高は、ECソリューション事業が27.5億円(ECサイト構築ecbeingが18.1億円、デジタルマーケティングが7.3億円、ECクラウドサービスが2.1億円)で、ITソリューション事業が21.7億円(ITクラウドサービスが3.9億円、セキュリティ・インフラ構築サービスが10.5億円、パッケージが4.1億円、IT機器販売が3.2億円)だった。いずれも計画を上回った。

 通期予想を据え置いたが、第1四半期の進捗率は売上高が25.7%、営業利益が25.4%、経常利益が26.6%、当期純利益が28.2%と順調である。クラウドサービスの伸長などで通期予想は上振れの可能性が高いだろう。DXの流れも背景として収益拡大基調を期待したい。

■株主優待制度は3月末と9月末の年2回

 株主優待制度は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は保有株数および保有期間に応じてオリジナルQUOカードを贈呈する。

■株価は上値試す

 なお7月21日発表の自己株式取得(上限15万株・5億円、取得期間21年7月26日~21年9月30日)については、21年8月31日時点で累計取得株式数が11万8500株となっている。

 株価は順調に水準を切り上げて年初来高値圏だ。自律調整を交えながら20年10月の上場来高値を目指す展開を期待したい。9月24日の終値は3395円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS150円51銭で算出)は約23倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約0.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS958円00銭で算出)は約3.5倍、時価総額は約468億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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