【どう見るこの相場】いよいよ師走相場、「掉尾の一振」候補にAI関連株プラスαが浮上

どう見るこの相場

 2021年も残り1カ月余、「行く年来る年」である。来し方2021年を振り返り、来る2022年に思いを馳せる時節となる。2021年は、新型コロナウイルス感染症の新規感染者の「第3波」、「第4波」、「第5波」とサンザンに苦しまされた。そんなお先真っ暗な閉塞社会で、ワクワク感で社会を明るくしてくれた希望の星を上げるとしたら、東京オリンピックの新種目のスケードボードのメダリストたち、米国メジャーリグの大谷翔平選手、将棋の藤井聡太四冠に指を屈するだろう。

 このうち大谷翔平選手は、アメリカン・リーグのMVPに日本人として20年ぶりに満票で選出されたが、来年2022年こそリアル二刀流としてベーブルースの記録を更新する期待を持たせてくれる。藤井聡太四冠は、5年前に中学生のプロ棋士としてデビューした途端に29連勝して将棋界の連勝記録を更新したのを手始めに、次々と最年少記録を書き換え、将棋の八大タイトルのうち、その半数の四冠を勝ち取っている。名人位の奪取だけは、順位戦の関係で早くても2023年になるが、前週末19日に王将戦挑戦者決定リーグで5連勝して、渡辺明王将への挑戦権を獲得して来年1月から対局して今年度中の五冠にチャレンジ、来2022年には次々にタイトル防衛と奪取を重ね7冠に輝く可能性も指摘されている。

 将棋ジャーナリズムの受け売りばかりで申訳ないが、この藤井四冠の強さは、AI(人工知能)の将棋ソフトを使って将棋の分析・研究をしていることにあるとされている。すでにグーグルが開発した囲碁のAIソフト「アルファ碁」が、韓国の世界最強プロ棋士との番勝負を大幅に勝ち越し、将棋でも最上位棋士が相次いで将棋ソフトに苦杯をなめている。将棋ソフトは、プロ棋士の研究・練習の必須アイテムとなっているという。

 ただ藤井四冠の使用するAIソフトは、そうしたソフトとは次元を異にしているらしい。あの米半導体大手のエヌビディアの好業績・高株価の源泉となっているGPU(画像処理半導体)をエンジンに、将棋の各局面を画像として認識し、自ら学習して強くなったディープラーニング(深層学習)系のAIで、このソフトによる分析・研究により藤井四冠の情勢判断の精度が格段に向上したとされている。同ソフトは、演算速度も圧倒的に速くなったが、価格も半端でなく130万円ほどするとも推測されている。

 そこで今週の当コラムは、ややマニヤックな視点からとなるがAI関連株に注目することとした。当コラムは、どちらかといえばグロース株(成長株)より業績好調のバリュー株(割安株)を取り上げることが多く、米国の著名投資家のウオーレン・バフェット流で複雑怪奇のデジタル株より分かり易いアナログ株、バーチャル株よりリアル株のウエートが高くなっていると自覚している。しかし、前週末19日の米国市場でダウ工業株30種平均(NYダウ)が急続落する一方、グロース株比率の高いナスダック総合株価指数が連日の最高値更新となったうえに、12月師走相場は、値動き優先の餅つき相場で「掉尾の一振」銘柄への期待を強める傾向が強い。

 しかも、師走相場が押し詰まる12月中盤のIPO(新規株式公開)ラッシュのなか、20日にAIによりアルゴリズムモジュールを開発するJDSC<4418>(東マ)、23日には資金吸収額が300億円超(想定価格ベース)と大型案件となるAIプラットフォーム事業を展開するエクサウィザーズ<4259>(東マ)などが、東証マザーズ市場に各IPOされる予定で、AI関連株活躍の舞台も整い先取り余地が出てきそうなのである。もちろん当コラムの持ち前のアナログ・リアル系でも有望株は潜在しており、大谷翔平選手のMVP獲得でアシックス<7936>(東1)などの野球関連株が大幅高してことにならって「藤井四冠」関連の将棋の各タイトル戦の冠スポンサー株にプラスアルファ(α)の意外高を期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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