科研製薬が革新的な医薬品開発の国内バイオベンチャー、アーサムセラピューティクス社を100%子会社化

■まずは新薬候補2件の第2相臨床試験の成功に向け開発を推進

 科研製薬<4521>(東1)は11月30日、形成外科領域の開発品(対象疾患:難治性脈管奇形)や皮膚科領域の開発品(同:水疱性類天疱瘡)などの革新的な医薬品の研究開発を行う国内バイオベンチャー、ARThamTherapeutics株式会社(アーサムセラピューティクス社:神奈川県横浜市、長袋洋CEO)の株式などを議決権所有割合にして100%取得することで株式譲渡契約書等を締結したと発表、研究開発能力の更なる向上を図るとした。

■開発パイプラインの強化、研究開発能力の更なる向上を図る

 本件買収により、開発パイプラインの強化に加え、アーサムセラピューティクス社の有するドラッグリポジショニングに関わる技術と経験を、科研製薬が保有する既存化合物に適用する等のシナジー効果を実現し、当社の研究開発能力の更なる向上を図る。

■難治性脈管奇形、水疱性類天疱瘡に適応する製剤などの開発が進展

 本件買収に係る対価は最大で127億22百万円相当だが、この内訳は、クロージング日(2021年12月13日の予定)における総額55億円の現金(クロージング対価)と、各マイルストンが達成された場合に限り、売主に対して交付される最大72億22百万円相当の当社普通株式(アーンアウト対価)になる。

 科研製薬は、「一人でも多くの方に笑顔を取りもどしていただくために、優れた医薬品の提供を通じて患者さんのクオリティ・オブ・ライフの向上につとめる。」を企業理念とし、1948年の設立以来、医療ニーズに即した医療用医薬品の研究開発を行っている。

 近年は、皮膚科、整形外科におけるプレゼンスを高めており、自社創薬品であり、国内で初めての外用の爪白癬症治療剤である「クレナフィン」は、グローバル製品として成長を続けている。今後の中長期における持続的な成長を遂げていくためには、開発パイプラインの充実は最重要の課題であり、そのための新たな開発品の導入も積極的に行っている。

 一方、アーサムセラピューティクス社は、「未だ十分な治療法が確立されていない疾患を有する患者さんへ真に有効な治療薬『Medicines that matter』を届け、患者さんとそのご家族の幸せに貢献すること。」をミッションとする創薬バイオベンチャーであり、形成外科領域の開発品ART-001(対象疾患:難治性脈管奇形)および皮膚科領域の開発品ART-648(同:水疱性類天疱瘡)を有している。

 本件買収後、科研製薬はアーサムセラピューティクス社と協力し、進行中のART-001およびART-648の第2相臨床試験の成功に向け開発を進めていく。これらの試験が成功した際には、日米欧での承認取得に向けた第3相臨床試験をはじめとする研究開発活動を科研製薬が引き継ぎ、グローバル展開を目指す。

 なお、買収対価の項で触れたマイルストンの概要は合計4つになり、アーサムセラピューティクスが保有する新薬パイプラインであるART-001およびART-648の研究開発の進捗に応じ、次の各マイルストンになる。

・マイルストン(1)ART-001に関する現行の臨床第2相試験の成功
・マイルストン(2)ART-001に関する臨床第3相試験の開始
・マイルストン(3)ART-648に関する現行の臨床第2相試験の成功
・マイルストン(4)ART-648に関する少なくとも米国での臨床第3相試験の開始
(HC)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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