【編集長の視点】壱番屋は市場予想を下回る減益転換業績と連続増配が綱引きして続落

壱番屋

編集長の視点 壱番屋<7630>(東1)は、70円安の5070円と続落して始まっている。前日6日大引け後に5月期決算を発表、前期業績が、期初予想を上ぶれて連続の過去最高で着地し、今期業績は減益転換を見込んで市場コンセンサスを下回ったが、前期配当を大幅増配し、今期も連続増配を予定していることと綱引きして売り買いが交錯している。

■積極的な海外出店に加えトッピング品の価格改定も寄与

 同社の前2015年5月期業績は、期初に営業利益、経常利益の減益転換が予想されたが、この予想数値を3億円超~1億円超上回り前々期比3.4%増収、6.5%営業増益、5.9%経常増益、14.2%純益増益と続伸し、過去最高を更新した。期初には食材価格の上昇や、人件費、物流費などの経費増加を見込んで減益転換を見込んでいたが、新規出店では、海外店舗20店舗を純増させる積極策を継続し、国内店舗では、人気アイドルグループなどと連携したキャンペーンを実施し、さらに今年3月に実施したトッピング品の価格を改定したことなどが上ぶれ着地要因となった。

 今2016年5月期業績も、国内景気は緩やかに回復すると見込んでいるものの、原材料価格の上昇や人材確保難の厳しい経営環境が続くとして、売り上げ439億円(前期比0.3%減)、営業利益44億4000万円(同3.4%減)、経常利益46億1000万円(同2.3%減)と慎重に予想、利益は、市場コンセンサスを1億円強下回る。一方、純利益は、減損損失の減少や実効税率の低下で28億1000万円(同3.1%増)と連続して過去最高更新を見込んでいる。配当は、前期業績が過去最高となったことから期末配当を25円上積みして年間100円(前々期実績70円)と大幅増配し、今期は年間105円に連続増配を予定している。

■値幅・日柄調整は一巡し配当利回り2%の出遅れ修正でディフェンシブ株買いが再燃も

 株価は、5000円台の出没場面からトッピング品の価格改定をポジティブに評価して上場来高値5790円まで買い進まれほぼ往って来いの調整をした。PER・PBR評価で割安感は乏しいが、今期連続増配予想で配当利回りは2.0%と割り負け感を強め、最高値からの値幅・日柄調整も目先一巡感を示唆しており、ディフェンシブ株人気を再燃させ最高値奪回に再挑戦する展開も想定される。(本紙編集長・浅妻昭治)

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