アステナホールディングスは22年11月期減益予想だが保守的

(決算速報)
 アステナホールディングス<8095>(東1)(旧イワキが21年6月1日付で持株会社に移行して社名変更)は、1月13日の取引時間終了後に21年11月期連結業績を発表した。新規受注や需要回復などで2桁営業・経常増益だった。22年11月期は不透明感や先行投資などを考慮して減益予想としているが保守的だろう。中期経営計画では24年11月期目標値に売上高600億円、営業利益38億円、ROE8.9%を掲げた。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は昨年来安値圏だが下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。

■21年11月期2桁営業・経常増益、22年11月期減益予想だが保守的

 21年11月期の連結業績は、売上高が20年11月期比10.7%増の723億22百万円、営業利益が12.2%増の22億83百万円、経常利益が25.5%増の24億70百万円、親会社株主帰属当期純利益が10.7%減の17億71百万円だった。新規受注や需要回復などで2桁営業・経常増益だった。親会社株主帰属当期純利益は負ののれん発生益6億20百万円が剥落したため減益だった。配当は20年11月期比2円増配の18円(第2四半期末9円、期末9円)とした。

 ファインケミカル事業は売上高が6.9%増の229億33百万円で、営業利益が15.2%増の13億86百万円だった。コロナ禍で製薬企業の医薬品開発の遅れや変更の影響があったものの、医薬品原料のジェネリック新規品目採用やM&A効果などでカバーして増収増益だった。

 医薬事業は売上高が17.0%増の124億52百万円で、営業利益が4.0%減の9億58百万円だった。医療用医薬品で外皮用剤やアトピー性皮膚炎治療薬などが伸長したが、一般用医薬品でビタミン原末や提携外用新製品が低調だった。

 HBC・食品事業は売上高が9.4%増の282億38百万円で、営業利益が3億43百万円の赤字(20年11月期は4億90百万円の赤字)だった。通販化粧品や一般用医薬品の卸売が低調だったが、食品原料や機能性食品原料が好調に推移して赤字縮小した。

 化学品事業は売上高が17.1%増の86億97百万円で、営業利益が16.9%増の3億83百万円だった。表面処理薬品、表面処理設備とも需要が拡大した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が169億75百万円で営業利益が6億63百万円、第2四半期は売上高が192億74百万円で営業利益が8億32百万円、第3四半期は売上高が174億78百万円で営業利益が4億59百万円、第4四半期は売上高が185億95百万円で営業利益が3億29百万円だった。

 22年11月期の連結業績予想(収益認識基準適用のため前期比増減率は非掲載)は、売上高が500億円、営業利益が17億円、経常利益が16億円、親会社株主帰属当期純利益が15億円としている。配当予想は21年11月期と同額の18円(第2四半期末9円、期末9円)としている。

 収益認識基準適用の影響として、売上高が従来の方法と比較して減少する見込みだが、営業利益、経常利益、親会社株主帰属当期純利益への影響はないとしている。利益を21年11月期実績との単純比較で算出すると、営業利益は25.5%減益、経常利益は35.2%減益、親会社株主帰属当期純利益は15.3%減益となる。

 22年11月期は不透明感や先行投資などを考慮して減益予想としているが保守的だろう。中期経営計画(毎期改定するローリング方式)では24年11月期の目標値に売上高600億円、営業利益38億円、ROE8.9%を掲げた。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は下値固め完了

 株価は地合い悪化も影響して昨年来安値圏だが下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。1月13日の終値は491円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS37円62銭で算出)は約13倍、時価総額は約199億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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