星光PMCは売られ過ぎ感、22年12月期も収益拡大基調

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 星光PMC<4963>(東1、新市場区分プライム)は製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業、化成品事業を展開し、次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)の拡販も推進している。21年12月期は需要回復して2桁増収増益予想としている。積極的な事業展開で22年12月期も収益拡大基調だろう。4月4日移行予定の新市場区分についてはプライム市場を選択し、上場維持基準の適合に向けた計画書を開示している。株価は地合い悪化も影響して昨年来安値を更新する展開だが売られ過ぎ感を強めている。売り一巡して出直りを期待したい。

■製紙用薬品、印刷インキ用・記録材料用樹脂、化成品を展開

 DIC<4631>の連結子会社で、製紙用薬品事業、樹脂事業(印刷インキ用樹脂、記録材料用樹脂、CNF、19年1月に連結子会社化した台湾・新綜工業の粘着剤)、化成品事業(子会社KJケミカルズの機能性モノマー)を展開している。

 20年12月期の売上高構成比は製紙用薬品事業が58%、樹脂事業が26%、化成品事業が16%、営業利益構成比(調整前)は製紙用薬品事業が49%、樹脂事業が27%、化成品事業が24%だった。

■海外事業拡大・新規事業構築に向けた施策を推進

 中期経営計画「New Stage 2021」では、基本方針に国内事業基盤の強化、海外事業拡大・新規事業構築に向けた施策の推進、長期的視点に基づいた経営基盤の構築を掲げている。

 国内事業基盤の強化では営業および開発体制の強化、製品ポートフォリオの変革、海外事業拡大・新規事業構築に向けた施策の実施では台湾・新綜工業による粘着剤の事業拡大、ベトナム生産現法設立による製紙用薬品の海外事業拡大、次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)事業の拡大、長期的視点に基づいた経営基盤の構築では海外人材の採用・育成、人事・教育制度の整備を推進する。

 目標数値には21年12月期の売上高320億円、営業利益30億円、営業利益率9.4%、海外売上高比率30%以上、Green Index(独自に定義した環境戦略製品売上高の18年12月実績を100とした指数)126を掲げている。

 セグメント別の目標は、製紙用薬品事業の売上高185億円で営業利益(連結調整前)19億87百万円、樹脂事業(CNF、AgNW、台湾・新綜工業を含む)の売上高92億円で営業利益9億41百万円、化成品事業の売上高43億円で営業利益4億64百万円としている。

 19年12月には東南アジアにおける製紙用薬品の生産拠点として、ベトナムにSEIKO PMC VIETNAMを設立(21年末完工予定)した。また樹脂事業では台湾・新綜工業において新工場を建設し、台湾2工場体制(平鎮、観音)を構築して生産能力を倍増させている。

 22年1月には台湾・新綜工業の株式を追加取得して出資比率を92.80%に引き上げた。先進精密産業において需要拡大基調の粘着剤事業の海外展開を推進し、連結経営の強化を図る。

■CNF複合材料の採用拡大

 次世代素材CNFは、すべての植物の植物細胞壁の骨格成分であるセルロースをナノサイズまで細かくほぐすことによって得られる繊維である。鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上強く、熱による変形が少ないなどの特徴がある。樹脂の補強材として機能させることで、自動車用樹脂の強度向上や金属部材からの置き換え、家電・モバイル機器の軽量化などでの需要が期待されている。

 18年1月CNF複合材料「STARCEL」ブランドでの商業生産・製品出荷を開始した。18年6月には世界初のCNF強化樹脂応用製品の商品化として、アシックス<7936>の高機能ランニングシューズ製品のミッドソール部材の原材料に「STARCEL」が採用され、全世界で累計500万足以上販売されている。19年10月には環境省NCV(Nano Cellulose Vehicle)プロジェクト製作のコンセプトカーに採用された。

 20年8月にはNEDO助成事業の「革新的CNF製造プロセス技術の開発」の助成先に採択された。事業期間は20年度~24年度である。さらに自動車用部材への採用を目指して検討を継続している。

 この他の新製品・注目製品として、脱プラスチック・包装材料の紙化を推進する紙塗工用耐水・耐油オールアクリルエマルション、造水膜などに発生するバイオフィルムの形成を抑えるバイオフィルムコントロール剤などの拡販も推進する。

 21年6月には、耐環境特性を付与した透明導電膜向け銀ナノワイヤインクおよびオーバーコート剤の開発をリリースしている。また21年8月には、高バイオマス率で生分解性を有する紙用コート剤の開発をリリースしている。

■21年12月期2桁増収増益予想、22年12月期も収益拡大基調

 21年12月期連結業績予想(8月10日に上方修正)は、売上高が20年12月期比19.1%増の310億20百万円、営業利益が12.5%増の29億40百万円、経常利益が16.2%増の31億円、親会社株主帰属当期純利益が15.7%増の19億50百万円としている。配当予想は20年12月期と同額の16円(第2四半期末8円、期末8円)としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比22.0%増の230億16百万円、営業利益が37.0%増の22億72百万円、経常利益が46.4%増の24億64百万円、親会社株主帰属四半期純利益が54.0%増の16億41百万円だった。需要が回復基調となり、数量増、差別化商品の市場投入、製品ミックス改善効果などで大幅増収増益だった。

 製紙用薬品事業は、差別化商品の拡販などで売上高が18.6%増の129億37百万円と大幅伸長したが、原料価格上昇で営業利益は4.3%増の9億56百万円にとどまった。

 樹脂事業は売上高が26.4%増の61億58百万円で、営業利益が29.6%増の7億09百万円だった。粘着剤、印刷インキ用樹脂・記録材料用樹脂の売上が順調に伸長して大幅増収増益だった。

 化成品事業は売上高が27.0%増の39億19百万円で、営業利益が2.1倍の9億86百万円だった。主力製品の輸出売上が伸長して大幅増収増益だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が75億11百万円で営業利益が9億63百万円、第2四半期は売上高が74億73百万円で営業利益が5億40百万円、第3四半期は売上高が80億32百万円で営業利益が7億69百万円だった。

 通期予想は据え置いている。営業利益の3億28百万円増益分析(計画)は、増益要因が数量・品目構成で23億42百万円、減益要因が原料価格上昇で8億72百万円、製造経費で3億51百万円、販管費で7億91百万円としている。

 セグメント別計画は、製紙用薬品事業は需要回復で売上高が18.9%増の178億43百万円だが原料価格上昇や先行投資で営業利益が8.0%減の13億37百万円、樹脂事業は高付加価値製品の拡販により売上高が21.9%増の83億44百万円で営業利益が37.0%増の10億96百万円、化成品事業は欧州・アジアへの輸出が牽引して売上高が15.3%増の48億41百万円で営業利益が41.9%増の10億16百万円としている。

 第3四半期累計の進捗率は売上高が74.2%、営業利益が77.3%、経常利益が79.5%、親会社株主帰属当期純利益が84.2%と順調だった。原料価格上昇などの不透明感があるが、需要が回復基調であり、通期予想は再上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で22年12月期も収益拡大基調だろう。

■株価は売られ過ぎ感

 22年4月4日移行予定の新市場区分についてはプライム市場を選択し、上場維持基準の適合に向けた計画書を開示している。現中期経営計画および次期中期経営計画(22年2月発表予定)の着実な遂行による業績の向上、IR・ガバナンス機能の強化などで企業価値の向上に取り組むとともに、取引先等の事業会社との株式保有関係解消などを通じて流通株式比率の向上、流通株式時価総額の増大を図り、24年12月期末までにプライム市場の上場維持基準適合を目指すとしている。

 株価は地合い悪化も影響して昨年来安値を更新する展開だが売られ過ぎ感を強めている。売り一巡して出直りを期待したい。1月25日の終値は645円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS64円31銭で算出)は約10倍、前期推定配当利回り(会社予想の16円で算出)は約2.5%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS885円19銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約196億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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