トレジャー・ファクトリーは反発の動き、22年2月期大幅増益予想で3Q累計大幅増益と順調

 トレジャー・ファクトリー<3093>(東1、新市場区分プライム)はリユースショップを複数業態で展開し、生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指している。22年2月期は大幅増益予想としている。第3四半期累計が需要拡大、新規出店、既存店の売上増・利益率改善などで大幅増益と順調であり、通期予想に上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。なお4月4日移行予定の新市場区分についてはプライム市場を選択し、上場維持基準の適合に向けた計画書を開示している。株価は地合い悪化の影響でモミ合いから下放れの形となったが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■リユースショップを複数業態で展開

 総合リユース業態トレジャー・ファクトリーや服飾専門リユース業態トレファクスタイルを主力として、リユースショップを複数業態で首都圏直営店中心に全国展開している。

 さらに周辺事業・新規事業としてBtoBライブネットオークション事業、引越・買取サービスのトレファク引越事業、不用品買取だけでなく不動産売買・仲介も行うトレファク不動産事業、終活・生前整理サービスのレガシー事業、ドレスやブラックフォーマルをレンタルするECレンタル事業「Cariru」なども展開している。生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指し、マルチチャネルによる仕入力、マルチブランドによる適材適所の販売力を強みとしている。

 19年1月にはシステム開発のデジタルクエストを子会社化、20年2月にはAIアプリのXZ(クローゼット)運営のSTANDING OVATIONと資本業務提携、20年10月には総合不動産会社のビーロットと業務提携、静岡県内でリユースショップ直営店12店舗を展開するピックアップジャパンを子会社化した。21年12月にはデジタルクエストのシステム開発受託事業を、新設する連結子会社トレファクテクノロジーズ(22年2月14日設立予定)に承継させると発表した。メディアコンテンツ事業が残るデジタルクエストについては、外部第三者への株式売却を検討する。

 海外はタイ(16年3月進出)のバンコクで3店舗を展開している。21年4月には台湾に現地法人を設立した。

 22年1月末時点の店舗数は、グループ合計220店舗(タイ3店舗を含むトレジャー・ファクトリーが74店舗、トレファクスタイルが62店舗、トレファクスポーツが6店舗、ユーズレットが8店舗、トレファクマーケットが1店舗、ブランドコレクトが5店舗、子会社のカインドオルが36店舗、ゴルフキッズが15店舗、ピックアップが13店舗)となっている。このうち直営店は188店舗である。

 なお収益面では引越シーズンにあたる第1四半期(3月~5月)の利益率が高く、第2四半期(6月~8月)の構成比が小さい季節特性がある。

■新規出店やM&Aで成長加速

 中期経営計画(21年12月に更新)では、目標値に25年2月期の売上高310億円、経常利益15.8億円、経常利益率5.1%、および親会社株主帰属当期純利益10.5億円を掲げている。配当性向目標は従来の25%以上から30%以上に引き上げた。

 SDGsを推進するとともに、更なる成長が見込まれるリユース市場において、グループ一体となって年平均売上成長率10%の継続と利益の安定成長を目指す方針としている。リユース事業を中核として、既存店の成長は概ね前年並みを想定し、成長加速戦略として新規出店、新規事業、海外事業、M&Aの4つの分野に投資を継続しながら、収益拡大、収益率向上、ガバナンス整備を進める。

 リユース事業の成長では、グループ全体で複数業態を組み合わせて年間20~30店ペースの出店を継続し、リユースのネットワークを拡大する。さらに多店舗体制構築に向けた採用・教育の強化、更なる新業態開発、グループのリユース会社の収益改善を推進する。

 新規事業への投資では、物流拠点拡張によるBtoBライブネットオークション事業の本格展開、買取と引越をセットで行う独自の買取引越事業の成長加速、レンタル事業への継続投資を推進する。

 海外事業では、タイ事業(21年11月期に単年度黒字化)の利益体制の構築と新規出店、および台湾への進出を推進する。M&Aでは、既存事業とのシナジー効果や新たな収益事業につながるM&Aを積極的に検討する。DX投資では、自社システム部門およびシステム子会社の開発力を活用し、業務効率化、査定効率化、新たな買取機会・販売機会創出などを推進する。

 22年2月期は21年12月末時点で過去最高となる17店舗の出店を完了した。総合リユース業態トレジャー・ファクトリーは関東・関西・中部にバランス良く出店している。服飾専門リユース業態トレファクスタイルはモールなどの大型商業施設からの誘致が増加しており、21年10月にはイオンモールNagoya Noritake Garden(名古屋市)に名古屋則武新町店をオープンした。さらに初の買取専門店(東京都・買取センター広尾店、東京都・表参道2号店)もオープンし、高額アイテムの仕入を強化している。

 リアル×WEBによる深化では、自社ECサイトの出品数増加に伴ってEC売上比率が上昇基調(22年2月期第3四半期累計は13.9%で前年比0.9ポイント上昇)である。さらにBtoBライブネットオークション事業を、店頭、ECに続く第3の販売チャネルに育成する方針で、店舗数拡大やオークション事業強化に対応した物流機能強化のため関東および関西の物流センターを増設する。

■22年2月期3Q累計大幅増益と順調、通期上振れ余地

 22年2月期連結業績予想は売上高が21年2月期比20.8%増の226億36百万円、営業利益が7.5倍の8億04百万円、経常利益が4.7倍の8億18百万円、親会社株主帰属当期純利益が5億37百万円(21年2月期は1億34百万円の赤字)としている。配当予想は6円増配の16円(第2四半期末8円、期末8円)である。

 積極的な成長投資で費用が増加するが、期後半に向けてコロナ禍の影響が徐々に和らぐと想定し、過去最高水準の新規出店(21年12月末時点で17店舗を出店し22年2月期の出店完了、今後の出店は来期の22年3月以降の予定)による新規エリアへの展開と大商圏への出店、DXへの取り組み強化によるEC販売拡大や出品作業効率化、第3のチャネルとして注力している自社オークションの活用による買取アイテム拡大などの効果も寄与して大幅増収増益予想としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比25.8%増の168億86百万円で、営業利益が5億80百万円(前年同期は1百万円)、経常利益が6億19百万円(同62百万円)、親会社株主帰属四半期純利益が3億32百万円(同75百万円の赤字)だった。

 第2四半期にコロナ禍に伴う緊急事態宣言や気温低下の影響を受けたが、累計ベースではリユース意識の高まりも背景とする買取サービスへの需要拡大、新規出店、既存店の売上増・利益率改善などで大幅増収増益だった。商品アイテム別では衣料、服飾雑貨、ホビー用品の販売が特に好調だった。新規出店は14店舗(21年12月末時点では17店舗)、既存店売上(単体ベース)は108.1%、既存店の売上総利益率は1.2ポイント上昇して65.4%だった。子会社カインドオルの業績改善や、ピックアップジャパンの連結(20年10月子会社化)なども寄与した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が56億68百万円で営業利益が3億43百万円、第2四半期は売上高が50億68百万円で営業利益が1億87百万円の赤字、第3四半期は売上高が61億50百万円で営業利益が4億25百万円だった。第2四半期はコロナ禍の影響を受けたが、第3四半期はコロナ禍の影響が和らいで営業利益が過去最高となった。

 通期予想は据え置いているが、第3四半期累計の進捗率は売上高74.6%、営業利益72.2%、経常利益75.8%、親会社株主帰属当期純利益61.8%と概ね順調だった。第3四半期として過去最高の営業利益だったことや、下期は冬物衣料による単価上昇なども見込まれることを勘案すれば、通期予想に上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。

 月次売上(単体直営店の店舗売上、前年比速報値)を見ると、21年12月は全店が114.9%、既存店が106.4%だった。既存店売上は4ヶ月連続の前年比プラスと順調だった。気温低下に伴って冬物衣料が好調に推移し、ブランド品やホビー用品も堅調だった。新規出店は3店舗(3月~12月合計では17店舗)だった。

■株主優待制度は2月末の株主対象

 株主優待制度は毎年2月末時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施(詳細は会社HP参照)している。

■株価は反発の動き

 なお4月4日移行予定の新市場区分についてはプライム市場を選択し、上場維持基準の適合に向けた計画書を開示している。中期経営計画で掲げた各種取組を推進し、業績目標達成、株主還元拡充、コーポレートガバナンス充実などによって継続的に企業価値の向上を図り、25年2月期末までにプライム市場上場維持基準への適合を目指すとしている。

 株価は地合い悪化の影響でモミ合いから下放れの形となったが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。1月25日の終値は804円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円50銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の16円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS382円08銭で算出)は約2.1倍、そして時価総額は約93億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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