ゼリア新薬は続伸、1700円割れで下値到達、今期業績回復、利回り魅力も

株式市場 銘柄

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、2014年1月の高値3170円からの調整が続いているが、2013年8月以来となる去る9日の1700円割れ1656円で底打ちとなったようだ。今朝は25円高の1728円と続伸している。

 2015年3月前は薬価改定や後発品使用促進の影響、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築遅れ、ライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、広告宣伝費の増加、成長戦略に欠かせない新薬パイプラインの充実を図るため当初予定していなかった新規開発テーマの導入費用の発生、ヨーロッパとアジア地域で実施している治験の進捗による研究開発費の想定以上の増加などで大幅減益だった。

 今3月期は、売上高が前期比6.5%増の650億円、営業利益が同49.3%増の40億円、経常利益が同26.3%増の35億円、純利益が同17.3%増の30億円としている。配当予想は前期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)で予想配当性向は53.1%となる。

 コンシューマーヘルスケア事業が引き続き好調に推移し、医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」の国内外での伸長、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透を見込んでいる。研究開発費や広告宣伝費が増加するが、増収効果で吸収して大幅増益見込みだ。

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 消火器分野の「Z-206(アサコール)」は協和発酵キリンと共同で、潰瘍性大腸炎を対象に用法・用量を追加するフェーズ3を実施している。中国での開発はフェーズ3を終了して13年5月に承認申請済みだ。自社オリジナル品の「Z-338(アコファイド)」は欧州において機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施している。

 エーザイ<4523>から導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z-215」は逆流性食道炎を対象としたフェーズ2を開始、子宮頸癌を対象とする「Z-100」は日本を含むアジア地域におけるフェーズ3国際共同治験を開始、膵臓癌を対象とする「Z-360」は日本を含むアジア地域におけるフェーズ2国際共同治験を開始、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z-213」はフェーズ1bを開始した。

 14年8月にはエーザイの新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 14年9月には、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 昨年4月にはベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%取得を発表した。当社グループのアジア地域における事業展開の際の一つの拠点とする。

 今期1株利益は56.4円、配当は年30円の見通しで10日の終値1703円はPER30.1倍、利回り1.76%。PERはマーケット平均より割高だが、利回り魅力はある。当面、下値を固め出直りを待つ展開が予想される。

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