【編集長の視点】協栄産業は業績再上方修正・再増配・自己株式取得の3点セットに見直し余地

編集長の視点

■下値対応は一考の余地あり

 協栄産業<6973>(東1)の株価水準は、昨年10月から12月に掛けて固めた下値硬直性のあるゾーンで、25日移動平均線からは10%超のマイナスかい離と下げ過ぎも示唆している。この株価水準で今年1月28日に発表した今2022年3月期業績の再上方修正、再増配、自己株式取得の3点セットが見直される可能性もあり、下値対応は一考余地がありそうだ。バリュー株特性でも、低PER、低PBR、高配当利回りと3点セットとなっている。

■車載・産業機器向けのパワー半導体が伸び本社売却益も計上

 同社の今3月期業績は、昨年7月に上方修正済みだが修正値を今年1月にさらに引き上げた。売り上げは7月修正値を据え置いたが、営業利益を3億5000万円、経常利益を4億円、純利益を9億5000万円それぞれアップさせ、売り上げ550億円(前期比3.6%増)、営業利益10億円(同2.51倍)、経常利益11億円(同2.64倍)、純利益16億5000万円(前期は3億8200万円の赤字)と大幅続伸し、純利益は、1990年11月期の過去最高(12億8900万円)を更新する。産業機器システム事業では加工装置、自動化システムの大型案件を受注し、半導体デバイス事業では車載・産業機器向けのパワー半導体やメモリ、金属材料などが伸長し、本社売却益14億7100万円を計上することなどが要因となる。

 配当は、昨年10月に中間配当を期初予想の20円から30円(前年同期10円)に引き上げたが、今回の業績再増額で期末配当も20円から30円に再増配し、年間配当は60円(前期実績20円)と増配幅を拡大させる予定である。自己株式取得は、上限を4万株(発行済み株式総数の1.3%)、取得金額を1億円として2月1日から3月24日までを取得期間として実施する。取得規模は小さいが、自社株価が割安とのアナウンス効果が期待できる。

■PER2倍、PBR0.3倍、配当利回り3.9%とバリュー株的にも3点セット

 株価は、昨年7月の今期業績の1回目の上方修正で1640円の高値をつけ、本社移転・現本社売却の協議開始に本社売却益計上・中間配当の増配と続いて1500円台固めを続け、今年4月の東証の市場区分再編に向けグロース市場を選択し格下げとなることを嫌って1534円まで売られたが、売られ過ぎとして買い直され昨年来高値1887円まで上昇した。年明け後は再度、1481円まで調整したが、業績の再上方修正・増配・自己株式取得の3点セットをテコに1815円高値まで再騰し、足元では往って来いとなって25日移動平均線から10%超も下方かい離している。PERは、2.79倍と東証1部低PERランキングの第11位と割安で、PBRも0.35倍、配当利回りも3.96%と割り負けており、バリュー株評価でも3点セットが揃っており、今年1月の戻り高値1815円抜けから昨年来高値1887円を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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