【注目銘柄】豊和工業は続落も地政学リスクとプライム市場適合の思惑が底流し待ち伏せ買いも一法

 豊和工業<6203>(東証プライム)は軟調な展開となっているが、ウクライナに軍事侵攻したロシアの戦争犯罪を糾弾する動きが強まり、7日の国連総会で残虐行為を繰り返したロシアの人権理事会の理事国資格停止が採択されるほか、北朝鮮もミサイル発射を繰り返すなど地政学リスクが高まっており、関連銘柄の待ち伏せ買いが交錯している。また4月4日にスタートした東証の市場区分再編で、同社は、適合計画書を策定して暫定措置としてプライム市場に上場したが、流通株式時価総額が、上場基準に未達となっており、このクリアに向け中期経営計画を強力に推進することも側面支援材料視されている。

■ウクライナ・北朝鮮情勢など突発事態で防衛装備品に再脚光

 同社は、1936年(昭和11年)に兵器の製造を開始した防衛装備品を製造する主要メーカーの1社で、小銃では国内唯一のメーカーに位置し、防衛省向けに培った高技術力を狩猟用ライフルにも活かし海外でも高評価され、米国向けの輸出も好調に推移している。この防衛装備品の火器では、このほか迫撃砲、発煙弾、発煙弾発射器も製造し、火器部門の売り上げが全売り上げの15%(2021年3月期実績)を占め、工作機械部門に次ぐ主要事業となっている。このため地政学リスクが強まる緊急事態では、株価も急動意となり、今年2月24日のロシアのウクライナへの軍事侵攻では年初来高値921円まで買い進まれた。

 一方、プライム市場上場では、流通株式時価総額が83億9900万円と上場基準100億円に未達となっており、この達成への適合計画書では2025年3月期を最終年度とする中期経営計画を強力に推進することが目玉となっている。同計画では、最終年度の業績目標を売り上げ246億円、営業利益20億円、純利益14億円としており、この純利益14億円を業界平均の簡易買収倍率(EV/EBITDA)6倍や同社過去平均PERの11倍で評価すれば流通株式時価総額は127億円~130億円となり上場基準を上回る。なお目下集計中の2022年3月期業績は、昨年11月の上方修正通り売り上げ198億円(前期比5.5%増)、営業利益7億5000万円(同35.2%増)、経常利益9億円(同2.1%減)、純利益7億5000万円(同22.6%減)と税金費用の関係で増減マチマチと見込んでいるが、今年2月に発表した第3四半期(2021年4月~12月期、3Q)の経常利益、純利益が、この通期予想業績をすでにオーバーして着地する高利益進捗率を示しており、上ぶれ着地期待も強い。

■低PER・PBR水準から年初来高値へ再チャレンジ場面も

 株価は、昨年11月の2022年3月期業績の上方修正で838円へ上ぶれ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の「第5波」による全般相場急落とともに729円安値に調整したが、今年1月に今期3Q業績の高利益進捗率着地にウクライナ情勢の緊迫化が続いて837円へ上値を伸ばし、ロシアのウクライナへの軍事侵攻で昨年来高値921円へ急伸して足元では25日移動平均線を出没するもみ合いを続けている。PERは13.1倍、PBRは0.59倍と割り負けており、再度の年初来高値チャレンジも想定され、待ち伏せ買いも一考余地を示唆している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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