【編集長の視点】すかいらーくは反落も外食産業2位の実力見直しで直近IPO株人気が再燃余地

編集長の視点

すかいらーく<3197>(東1)は、33円安の1091円と4営業日ぶりに反落して始まっている。同社株は、10月9日に8年ぶりに公開価格1200円で東証第1部に再上場(IPO)され、公開価格と同値で初値をつけて1229円まで買い進まれたあと、24日に上場来安値999円をつけ底上げしており、戻り売りが先行しているが、下値では外食産業での売上高順位2位、時価総額2位の実力を見直して直近IPO株人気の再燃を期待する買い物も交錯している。東証株価指数(TOPIX)算入を前に指数連動型ファンドなどの買い需要が発生する好需給思惑も、株価押し上げ材料として意識されている。

■全3000店舗に5億人の来店客を迎え売上高・時価総額は業界第2位

同社株は、2006年9月にMBO(経営陣が参加する株式公開買い付け)により上場廃止となり、8年1カ月ぶりに東証第1部にIPOされた。このMBO後の約8年間は、新規出店よりも既存店舗の収益性向上の事業再構築に注力し、店舗内外装のリモデル(刷新)、従業員のサービス向上、メニューイノベーションなどを進め、3000店舗の全店舗に5億人の来店客を迎え、9万人の従業員による最上のサービスを提供している。前期実績ベースでの売上高3324億8400億円は、ゼンショーホールディングス<7550>(東1)に次ぐ外食産業第2位に位置し、前日終値現在の時価総額約2182億円も、日本マクドナルドホールディングス<2702>(JQS)に続く業界2位となっている。

今12月期業績は、売り上げ3378億6000万円(前期比1.6%増)、税引前利益163億8700万円(同38.9%増)、純利益94億6200万円(同33.5%増)と予想している。月次売上高は、9月が天候不順や日曜日が前年同月より1日少なかった影響で前年同月比マイナスとなったが、過去1年間の月次売上高では、12カ月のうち10カ月が前年同月比プラスとなり、四半期ベースでは5四半期連続で前年同期を上回った。IPO時に同時発表した今期第2四半期(1月~6月)累計業績は、前年同月比2.4%増収、2.72倍税引前増益、2.51倍純益増益で着地しており、期末に向け業績上ぶれ期待も高まってくる。

■外食産業の「勝ち組」人気にTOPIX算入の好需給思惑も支援しまず公開価格奪回

株価は、上場来安値から100円幅の底上げをしたが、まだ公開価格を下回っており、外食産業の月次売上高推移では、ファーストフード業態、居酒屋業態がマイナスが続く「負け組」、ファミリーレストラン業態がプラスの「勝ち組」と2極化しており、この「勝ち組」人気に加え、PER評価が外食業界で相対的に割安であり、さらにTOPIX算入による好需給思惑もオンしてまず公開価格を奪回し、なお一段と上値を伸ばす展開が有力視される。(本紙編集長・浅妻昭治)

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