【銘柄診断】山王は調整一巡、22年7月期大幅営業・経常増益予想、さらに再上振れの可能性

銘柄診断

 山王<3441>(東証スタンダード)は貴金属表面処理加工のリーディングカンパニーである。22年7月期(3月14日付で上方修正)は、5G関連の通信分野を中心にめっき需要の拡大が継続し、大幅営業・経常増益(当期純利益は特別利益剥落で減益)予想としている。第2四半期累計の利益進捗率が高水準であり、通期予想に再上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化も影響して反発力が鈍く年初来安値圏だが、調整一巡して出直りを期待したい。

■貴金属表面処理加工のリーディングカンパニー

 貴金属表面処理加工(めっき加工)のリーディングカンパニーである。コネクターを中心とする電子部品の貴金属表面処理加工を主力として、精密プレス加工なども展開している。

 60余年の歴史で培われた「めっき加工」技術の蓄積を強みとして、国内主要顧客数十社の安定顧客基盤を構築している。21年7月期の用途別売上構成比(国内+フィリピン)は通信34.7%、自動車28.3%、産業20.3%、民生6.2%、遊技5.0%、医療その他5.6%だった。

 成長戦略として、新規開発品(水素透過膜、銀めっきアクリル粒子)の事業化、プレス・めっき一貫生産強化やコスト対応強化に向けた生産拠点再編を推進し、国内では東北事業部(工場)の生産能力増強・基幹工場化投資、フィリピンではコスト構造改革を推進している。

■22年7月期大幅営業・経常増益予想、さらに再上振れの可能性

 22年7月期の連結業績予想(22年3月14日付で上方修正)は、売上高が21年7月期比11.8%増の90億円、営業利益が90.2%増の5億円、経常利益が2.1倍の5億円、親会社株主帰属当期純利益が53.4%減の4億50百万円としている。配当予想は2円増配の10円(期末一括)としている。

 親会社株主帰属当期純利益は前期計上の特別利益(中国・無錫の山王電子の持分譲渡に伴う関係会社出資金売却益7億53百万円)が剥落して減益予想だが、5G関連の通信分野を中心にめっき需要の拡大が継続し、前回予想(期初計画の売上高40億80百万円、営業利益1億60百万円、経常利益1億50百万円、親会社株主帰属当期純利益1億70百万円)を上回る大幅営業・経常増益予想としている。修正後の売上高の計画は国内が17.8%増の74億円、フィリピンが12.7%増の16億円としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比17.9%増の44億71百万円、営業利益が6.9倍の3億17百万円、経常利益が3億17百万円の黒字(前年同期は15百万円の赤字)、そして親会社株主帰属四半期純利益が特別利益の剥落で56.1%減の3億19百万円だった。

 期初計画を上回る大幅営業・経常増益だった。5G通信向け、産業機器向け、車載向けに電子部品需要が高水準に推移し、めっき需要も拡大した。増収効果に加えて生産性向上効果も寄与した。国内は売上高が31.4%増の37億03百万円で営業利益が2億49百万円(前年同期は5百万円の赤字)、フィリピンは売上高が22.7%増の7億98百万円で営業利益が32百万円(同0百万円の黒字)だった。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が49.7%、営業利益が63.4%、経常利益が63.4%、親会社株主帰属当期純利益が70.9%である。利益進捗率が高水準であり、積極的な設備投資に伴う減価償却費の増加などを吸収して通期予想に再上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は調整一巡

 株価は地合い悪化も影響して反発力が鈍く年初来安値圏だが、調整一巡して出直りを期待したい。5月6日の終値は1070円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS97円49銭で算出)は約11倍、時価総額は約54億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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