三菱電機は宇宙空間において3Dプリンターで人工衛星アンテナを製造する技術を開発

■真空で太陽光により硬化する樹脂を開発

 三菱電機<6503>(東証プライム)は5月17日、太陽光と紫外線硬化樹脂を利用して、打ち上げ後に宇宙空間で造形物を製造中に支えるサポート材が不要な3D積層造形により、人工衛星用アンテナを製造する技術を開発したと発表。

■小型衛星にも大開口アンテナを打ち上げ後に搭載可能

 近年、民間事業者による人工衛星をはじめとする宇宙機器打ち上げビジネスが立ち上がりつつある中、従来の政府機関等が主導する大型の人工衛星だけでなく、研究機関や民間企業が主導する数十センチサイズの小型の人工衛星が登場している。

 人工衛星のアンテナは、高利得かつ広帯域幅であることが求められ、開口を大きくする必要がある。これまでのアンテナは、打ち上げロケットのフェアリング(流線形の覆い)サイズや人工衛星のサイズの制約を受けて、あらかじめ格納可能な大きさで整形しておくか、折り畳んで格納して人工衛星軌道上で展開していた。また、打ち上げ時や軌道投入時の振動や衝撃に耐えられるようにする構造も必要だった。

 今回、3Dプリンターと、真空中で適切な粘度を持ち紫外線による硬化安定性を持つように配合した紫外線硬化樹脂を開発することで、サポート材が不要なフリーフォーム3D積層造形が真空中で可能になった。この技術は、真空中でも安定性を持った新開発の樹脂を3Dプリンターで押出成形し、太陽光の紫外線で硬化させることで、宇宙空間において構造物を低消費電力で製造するものである。これにより、ロケットのフェアリングサイズや人工衛星のサイズに関わらず、数十センチサイズの小型衛星でも開口の大きなアンテナの搭載が可能となる。また、軌道投入後の振動や衝撃等を考慮したアンテナ構造やアンテナ展開用の部品も不要となるため、人工衛星を軽量化でき、打ち上げコストの低減に貢献する。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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