Jトラストは22年12月期利益予想を上方修正(訂正版)

※前回の記事(5月19日朝配信)の内容に誤りがあったため訂正して再掲載します。

(決算速報)
Jトラスト<8508>(東証スタンダード)は5月13日に22年12月期第1四半期連結業績を発表した。前年のシンガポールでの勝訴判決に伴う履行金受領の反動で営業減益だが、東南アジア金融事業の黒字化、エイチ・エス証券に係る負ののれん発生益計上、Nexus Bankに係る投資有価証券評価益計上などで計画を上回って着地し、通期の利益予想を上方修正した。通期の営業利益は従来の減益予想から一転して増益予想となり、親会社の所有者に帰属する当期利益が大幅増益予想とした。更なる上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化も影響して年初来安値を更新する展開だったが、上方修正を好感して急反発している。戻りを試す展開を期待したい。

■22年12月期1Q営業減益だが計画超、通期利益予想を上方修正

22年12月期第1四半期の連結業績(IFRS、21年12月期第3四半期にJTキャピタル(現Aキャピタル)を非継続事業に分類したため、21年12月期第1四半期の営業収益、営業利益、税引前利益を組み替えて表示)は、営業収益が前年同期比25.2%増の123億51百万円、営業利益が54.5%減の19億42百万円、税引前利益が34.3%減の39億95百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益が28.2%増の36億28百万円だった。

前年のシンガポールでの勝訴判決に伴う履行金受領の反動で営業減益だが、東南アジア金融事業の黒字化などで営業利益が計画を上回って着地した。さらに、エイチ・エス証券に係る負ののれん発生益計上、Nexus Bankに係る投資有価証券評価益計上なども寄与して、親会社の所有者に帰属する四半期利益は大幅増益で着地した。

セグメント別営業利益は、日本金融事業が利息収益の減少などで5.1%減の11億28百万円と小幅減益だが、韓国およびモンゴル金融事業が貯蓄銀行業における貸出金や預金の増加などで12.5%増の11億75百万円と伸長、東南アジア金融事業が営業収益の増加(51.2%増収)や貸倒引当金繰入額の減少などで5億08百万円の黒字(前年同期は5億21百万円の赤字)と黒字転換した。投資事業は前年のシンガポールでの勝訴判決に伴う履行金受領の反動で4億22百万円の赤字(同30億38百万円の黒字)だった。その他事業は27百万円の赤字(同1億38百万円の赤字)だった。日本ファンディングの販売収益が貢献して赤字縮小した。

通期の連結業績予想は売上高を小幅に下方修正、各利益を上方修正して、営業収益が21年12月期比68.5%増の713億円、営業利益が4.5%増の55億円、税引前利益が18.7%増の70億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が4.1倍の46億円としている。なお前期の投資事業利益や一過性要因を除いたベース営業利益(参考値で約12億円)に対して実質的に大幅営業増益予想となる。配当予想は据え置いて21年12月期比9円増配の10円(期末一括)としている。

前回予想に対して売上高が24百万円下回るが、営業利益は6億77百万円、税引前利益は23億17百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は31億70百万円それぞれ上回る見込みとしている。営業利益段階では東南アジア金融事業の収益改善が寄与する。さらに親会社の所有者に帰属する当期利益では、第1四半期に計上したエイチ・エス証券に係る負ののれん発生益、Nexus Bankに係る投資有価証券評価益計上なども寄与する。なおNexus Bankとの株式交換で負ののれん益が発生見込みだが、金額を算定中のため連結業績予想に織り込んでいない。また、金融商品取引業(エイチ・エス証券、第2四半期からPL連結予定)の業績は市場環境の変動の影響を大きく受けるため連結業績予想に含めていない。

修正後のセグメント別営業利益の計画は、日本金融事業が93百万円上方修正して36億63百万円(21年12月期比20.2%減益)、韓国およびモンゴル金融事業が据え置いて63億52百万円(21年12月期比98.0%増益)、東南アジア金融事業が4億99百万円上方修正して16億74百万円の赤字(21年12月期は63億72百万円の赤字で46億98百万円赤字縮小)、投資事業が据え置いて14億38百万円の赤字(21年12月期は54億45百万円で68億83百万円減少)、その他が据え置いて58百万円(21年12月期は4億30百万円で3億72百万円減少)としている。日本金融事業は安定的推移、韓国およびモンゴル金融事業は利益基盤の一層強化、東南アジア金融事業は一段の収益改善による赤字縮小、投資事業は前期の勝訴判決履行の反動減を見込んでいる。

修正後の通期予想に対する第1四半期の進捗率は、営業収益が17%、営業利益が35%、税引前利益が57%、親会社の所有者に帰属する当期利益が79%である。通期予想には更なる上振れ余地がありそうだ。

22年12月期は重点方針として金融事業にける安定的な収益・利益基盤の再構築を推進する。そして事業ポートフォリオ再構築に伴って新たな成長フェーズに入り、東南アジア金融事業の黒字化などで23年12月期以降の営業利益率は飛躍的に向上する見込みとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は急反発

株価は地合い悪化も影響して年初来安値を更新する展開だったが、22年12月期の利益上方修正を好感して急反発している。戻りを試す展開を期待したい。5月18日の終値は375円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS40円34銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約2.7%、時価総額は約474億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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